物事が進むスピードの速さにびっくり

――移住や韓国での転職を経て感じた、日本との文化の違いは?

 一番感じるのは、物事が進むスピードの速さです。新しい制度の導入や意思決定、実行までの流れがとても速いなと感じます。転職活動中も、「明日面接に来られますか?」というような連絡がありました。入社してすぐに何ができるのかが重視される文化が根付いているようです。最初はそのスピード感に驚きましたが、周囲に合わせているうちに、私も“せっかち”になってしまいました(笑)。

――ほかにも、韓国で暮らしていて驚いたことはありますか?

 冠婚葬祭にまつわる文化です。私が働いている会社では、社員の結婚が決まると「いつ、どこで結婚式を挙げます」という案内が全社メールで共有され、ご祝儀もオンラインで送ることができます。お葬式も同様で、訃報が全社に共有されます。香典もオンラインで送ることができますし、お供えの花などを手配して会場へ届けることもできるんです。

 さらに印象的だったのが、「結婚式には行けなくても、お葬式にはできるだけ参列する」という考え方が根付いていることです。

 以前、地方で行われた葬儀があった際に、オンラインで香典を送ったところ、上司から「今回は遠方だから私が代表で行くね」と言われて。後から聞くと、本来であれば参列するのが望ましいという感覚があるそうで、文化の違いを感じました。

――仕事をするうえで、日本人だからこそ生かせていることはありますか?

 日本市場に対する感覚は鋭いと思います。私はアパレル業界にいるのですが、日本で支持されるスタイルと韓国で人気のスタイルはやはり違います。今はAIを使って市場調査もできますが、実際の感覚やニュアンスまでは拾いきれない部分もあります。

 たとえば、キャッチコピーを書くときの言葉選びもそうです。韓国人には自然に伝わるけれど、韓国語をそのまま訳しただけでは日本人には伝わりにくい表現もあります。

 また、東京の土地勘があることも意外と役立っています。六本木と渋谷では集まる人の雰囲気が違いますし、同じ渋谷区でも代々木上原まで行けばまた空気感が変わる。そうした細かな違いはデータだけでは見えにくい部分なので、日本で生活してきた経験をもとに言語化できることは、自分の強みのひとつだと感じています。

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