加齢は"劣化"ではなく"成熟"。今の自分にしか出せない色香がある
――年齢を重ねる中で、安井さん自身のファッションとの付き合い方はどのように変化してきましたか。
今の私は結婚していて、妻であり、3人の子どもの母でもあります。体はやっぱり衰えてきているんですけれど、20代のピチピチだった頃にはない側面が出てきていると思っています。ダイヤモンドがカットによって輝き方が変わるように、年齢を重ねるごとに面が増えていきます。
いま結婚13年目ですが、13年間ひとりの男性から愛され続けてきた時間も含めて、20代にはなかった“色気”のようなものが生まれる。その蓄積が、今の自分の中で確かにあります。
今の自分には、弾力のある肌では表せない“色”があって、それをどうファッションで表現するかが次の課題です。色気や円熟、熟成感、母性――たとえば赤ちゃんに授乳している時の初々しい母親と、思春期の子どもを育てている母親とでは、まったく違う顔になる。経験が積み重なることで、表情の“面”は増えていきます。その結果として、着られる服の幅も広がります。
――“老いる”という言葉も、とらえ方次第ですね。
そう、加齢は、“劣化”ではなくて“成熟”なんです。たとえばピンクもそうで、ピチピチの若い子が着るピンクは、それはそれで可愛い。でも45歳で着るピンクはまた違う色になる。より女っぽさとか、深さみたいなものが出てくる感覚があります。
また、若い子がフリルを着ると、あざとく見えてしまうけれど、年齢を重ねた人がフリルのブラウスを着ると、熟女感が生まれます。オーバーオールもそうで、若い頃はTシャツやカジュアルなパンツと合わせる。でも45歳、50歳になったら、シャツやブレザーと合わせるとかっこいい。
――そう考えると、楽しみが増えますね。
そうなんです。年齢を重ねると、若い頃にあったみずみずしさが減っていく分、今度は加点方式で自分の持ち味をのせていくことができます。10代にエルメスのスカーフは似合わないけれど、ある年齢から、そのスカーフが自然に似合うように。
――百合子さんはこれからどのように年齢を重ねていきたいと考えていますか。
好奇心の尽きない、みずみずしさを持つ大人でありたいです。キャリアや経験が増えれば、自由度が上がり、やりたいことや行きたい場所の選択肢も物理的に増えていくでしょう。そのうえで、自分の持っている資力や財力を、自分の好奇心の向く先にきちんと使っていけるような生き方をしたいと思っています。
もちろん健康的に年齢は重ねていきたいので、健康には気を使います。ただ、不自然に抗うようなことはしません。40代に見られてもいいし、50代になったら50代でいい。でもそのうえで、「50代だけど若々しい」とか、「50代だけど友達みたいに話せる」と思われる存在だったら嬉しいですね。
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安井百合子(やすい・ゆりこ)
東京都出身。パーソナルスタイリスト・ファッションコンサルタント。「隠すを魅せるに変える」をモットーに、コンプレックスの取り扱い、チャームポイントを表現するメソッドやノウハウをファッション・ヘアメイク・マインドのトータルでコンサルティングするスタイリストとして活動。SNSではファッションコンサルティングの枠を超えたメッセージが共感を呼び、22万人以上のフォロワーから支持を得ている。

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