トミー・バストウにNHKの方を紹介して……

──この作品で共演されたトミー・バストウさんに「ばけばけ」への出演をすすめられたんですよね。

 そうなんです。トミーから「日本で働くのが夢だ」という話は、以前から聞いていました。

 朝ドラの募集要項を見たときに「こんなのがあったよ」と情報を伝えたところ、「受けてみたい」と言ってくれて。そこからNHKの方をご紹介し、オーディションにつながりました。

 トミーはどのスタッフとも仲が良く、私だけが特別親しかったわけではないのですが、妹のようにかわいがってもらっています。私にとっても、兄のような存在です。

──バストウさんのどんなところに魅力を感じていらっしゃいますか。

 トミーは達観の域に達するくらい、俯瞰的に周囲を見られる人なんです。トミーに相談すると、ハッと気づかされることも多く、彼の言葉や姿勢に何度も救われました。

 あとは、すごく繊細で共感力が高いと思います。たとえば、エミー賞の授賞式のときに、その年に亡くなったクリエイターの方を偲んで曲を披露する場面があったんですけど、前年に亡くなったばかりの自分の母のことを思い出して涙ぐんでしまったんです。

 そのときにトミーが、何も言わずに肩に手を置いてくれて……。

 私が母を思い出したことがわかったみたいで、「つらい経験を乗り越えて、いまこの場に立っているあなたを誇りに思う」と言ってくれました。本当に相手の気持ちがわかる人なんだな、すごい人だな、とあらためて感動しました。

──穂志さんご自身は、人の気持ちを敏感に察するほうだと感じていますか。

 どうでしょう(笑)。でも、言葉にされていない部分をなんとなく察してしまうことはあるかもしれません。

 『SHOGUN 将軍』の現場でも感じたことですが、言葉が通じるかどうかよりも、感情が通じるかどうかのほうが大切だと思う瞬間って、結構あって。

 私はわかりやすいお芝居が苦手で、アメリカに行く前は「もっと怒って「もっと笑って」と“わかりやすさ”を求められることが多かったんです。でも『SHOGUN 将軍』のときは、日本語で芝居をしていても、監督にちゃんと伝わることがあったり、逆に英語が完璧でなくても、相手と通じ合える瞬間があったり。わかりやすいお芝居をすると「もうやめて、もっと抑えて」と撮り直しになる。むしろ、私が得意としてきた、“わかりにくいお芝居”をそのまましたら、監督含めて現場ですごく面白がってもらえて、「日本とアメリカは芝居に求めるものがこんなに違うのか」と、学ばせてもらいました。

──本作でその経験は活かせたと思われますか。

 あからさまに表現しなくても想いを汲み取ってもらえた経験は、「自分のままで自由に演じていいんだ」という自信になりました。

 今回の撮影でもその感覚を大切にしていたので、テイクごとに気分が変わり、違う芝居をしてしまうこともありましたが、「さっきと全然違うことをしてしまってすみません」と謝ると、デイヴは「それが面白い。もう一度やってみよう」と言ってくださって。

 さらに「もう一回やったら、また違うものが出てくるかもしれない」と、むしろその変化を楽しんでくれました。

 私の特性を面白がりながら、芝居の幅を引き伸ばしてくれたデイヴの存在はとても大きかったと思います。

──今後の目標もお聞かせください。

 さまざまな経験を経て、いまは少しずつ自分の輪郭が見えてきている段階だと感じています。

 これからも、自分の知らない感情や世界との出会いを大切にしていきたいです。

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穂志もえか(ほし・もえか)

千葉県出身。講談社主催「ミス iD2016」でグランプリを受賞し、2018年、映画『少女邂逅』で初主演を果たす。SHOGUN将軍」(24年)では宇佐見藤を演じ、第30回クリティクス・チョイス・アワードドラマシリーズ助演女優賞を受賞。近年の主な映画出演作に、『街の上で』 (21年) 、『窓辺にて』 (22年) 、『生きててごめんなさい』 (23年) 、『誰よりもつよく抱きしめて』(25年)など。26年の待機作に映画『メモリィズ』(6月12日公開)がある。

映画『Never After Dark/ネバーアフターダーク』

霊媒師一族に生まれた愛里(穂志もえか)は、ある事件によって霊となった姉・美玖(稲垣来泉)とともに、全国の怪事件を解決して回っていた。ある日、“亡霊が出る屋敷”の除霊依頼をオーナーの禎子(木村多江)から受け、山奥の洋館を訪れる。霊を信じない群治(賀来賢人)らと過ごすなか、屋敷では次々と怪現象が発生。除霊を進めるうちに、屋敷の隠された秘密、亡霊の驚愕の正体、そして姉妹を縛る恐ろしい過去が明らかになっていく。

脚本・監督:デイヴ・ボイル
プロデューサー:賀来賢人
出演:穂志もえか 稲垣来泉 賀来賢人 吉岡睦雄 正名僕蔵/木村多江
企画・製作:SIGNAL181
配給:TOHO NEXT
https://neverafterdark.toho-movie.jp/

▼衣装クレジット

ドレス 30,800円、パンツ 30,800円(共にコトハヨコザワ/オン・トーキョー ショールーム)
ヴィンテージのリング[左手]11,000円[右手]8,690円(共にフィズ)

▼問い合わせ先

オン・トーキョー ショールーム 03-6427-1640
フィズ 03-5306-6552

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