“大復活”のきっかけとなったオール女性キャスト映画

 二年ほど映画界を離れたアンの大復活となったのは、オール女性キャスト映画『オーシャンズ8』(2018)。かつて自分に投げつけられた「わがままなナルシスト女優」のイメージを面白おかしく演じきり、あっぱれな女優魂と喝采された。本人としても、はじめて同性ばかりの現場を体験したことで、肩の力が抜けたそうだ。

 キャリアを通してアクション大作からSF、女性映画、アートフィルムにまで出演してきたアン・ハサウェイは、今や世代を代表する40代女優として君臨している。メディア露出こそ減ったが、スポーツを情熱的に観戦する姿がSNSで拡散されたりすることで、自然なかたちで好感度が復活した。

 2026年は「ハサ・ルネッサンス」、つまり第二の全盛期と評判だ。全米公開予定作はなんと5本。「干され」時代に手を差し伸べてくれたというクリストファー・ノーラン監督の大作『オデュッセイア』(2026年日本公開予定)から、ワケありポップ歌手を演じる『Mother Mary(原題)』まで、『プラダ2』以外にも次々と期待作が待ち受けている。

 ジュエリーデザイナーの夫とのあいだに2人の息子に恵まれ、慌ただしい子育ても経験したことで、完璧主義から解放されより挑戦的になれたというアン。それでも、人生で一貫している仕事術は、準備を怠らず全力を尽くすこと。それは本番で緊張しないようにするためでもあり、結果がどうなろうと「やり遂げた」と納得できるようにするためでもあるという。

 実のところ、かつて投げられた「頑張りすぎてイタい」という批判は、ミレニアル世代の女性があてはめられがちな負のステレオタイプでもある。ある意味、世代の代表として嘲笑されても、彼女は努力をたやさず、私たちに勇気と美徳の成果を見せてくれた。だからこそ、今のアン・ハサウェイは、これまで以上に女性を勇気づけるヒロインなのだ。