映画『国宝』で吉沢亮さん演じる喜久雄の少年時代を演じ、さらなる注目を浴びている黒川想矢さん。

 『怪物』で是枝裕和監督に発掘された後、李相日監督や今泉力哉監督といった日本映画界を支える監督たちの現場を経て、今回、アカデミー賞候補になったフランスアニメ映画『ARCO/アルコ』(公開中)で主人公の少年・アルコの吹替えに初挑戦。

 日々成長している彼の芝居に対する思いに迫ります。

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『怪物』のオーディションを最後に、この仕事をやめようと思っていた

――5歳から芸能活動をされている黒川さんですが、それは自分の意思から始めたのでしょうか?

 最初の頃はキッズモデルとして活動していたのですが、そのときは僕の意思ではなくて、親の意思というか、知らない間に始めていました。それで、小学6年生のときに、是枝(裕和)監督の『怪物』という作品に出会いました。そこで、それまで自分が思っていた演技とは違う演技のカタチというものを知り、「演技って、面白いな」と思うようになったんです。その「面白いな」という気持ちが、今もずっと続いているので、やめなくて本当に良かったです。

――つまり、主人公の麦野湊を演じられた『怪物』のオーディションを最後に、俳優の仕事をやめようと思っていたということですか?

 そうです。最後の記念じゃないですけれど、僕の中では『怪物』のオーディションを受けて、俳優活動を終わりにしようと思っていました。でも、湊役に選んでいただき、是枝さんの指導を受けているうちに、その気持ちは大きく変わりました。

 それまでの僕は、悲しいときは泣き、楽しいときは笑うというように、演技は顔の表情でやるものだと思っていました。でも、是枝さんやほかの方が「顔は最後でいいんだよ」って言ってくださったんです。

――そのほか、『怪物』の現場で、芝居の面白さに気づいたことはありますか?

 言葉にするのがちょっと難しいのですが、僕自身が意識して「こうやって演じよう」とか「演技してみよう」というものではなくて、その役を演じるうえで、実際のできことを経験したり、相手から受け取ったものを返したり、そのときに感じたものを表現することも、とても面白いと思いました。あと、ハッキリした答えみたいなものがないことも演技の楽しさだと思っています。

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