親友の幸せを100%喜ぶのは実は難しい

――由良と、妊娠をした有里奈は、思っていることを率直にぶつけ合える親友です。ここまで言い合える関係を羨ましくも感じました。

 年を重ねるにつれて、遠慮なく踏み込んで色々と言い合える友達はどうしても少なくなってきますよね。出産や育児を含めて、ライフスタイルが変わるにつれて自然と関係性も変わっていきますし、ずっと仲良くしていられるのって難しいことなのかもしれません。あるタイミングで離れて、久しぶりに会って、そしてまた離れるといった掴みどころのない関係の方が増えてきたような感じもして、こちらが勝手に遠慮して勝手に距離を取っているだけなのかもしれないんですが、フェーズが変わっても、友達でい続けてくれる人って本当に貴重だなと……。なので私も由良と有里奈が羨ましく感じる部分もあります。

 親友の幸せを心から手放しに喜べる人を見ると本当にすごいなと思いますし、そういう人間でありたいって思うんですけど、100%喜んでいますか? と仮に聞かれたら難しい。相手が自分と違うフェーズに進もうとすると、自分が相手に何をしてあげられるのだろうか、という問いに直面するのもありますが……。この歪んだ感情は、由良と有里奈も抱えているので、「親友とは?」「友人とは?」と改めて考えるきっかけにもなりました。

――最後に、一つ気になることをお伺いしてもいいですか? 作家としてだけでなく、AV女優として、そしてラジオやコメンテーターとしても活躍されています。多忙な中、どのように執筆とむきあっていらっしゃるのでしょうか?

 普段は家で犬とただのんびりしているだけなんですが、執筆のときは家の一角に締切の神棚を作っていて、常に「締切の神」に見守られながら書いています(笑)。今回は特に自分が書きたかったテーマだったこともあり、どんどん話が膨らんでいってしまったんですが、編集担当の方に「無理に削らなくていいですよ」と言っていただけたおかげでのびのび書けました。

 原稿を送るたびに、担当の方から「なぜ私の書きたいことをここまでわかってくれるんですか……?」と驚くほど、的確で素晴らしいご意見やご感想をいただけてテンションが上がり筆も乗りました。それをスクショして、待ち受けにしていたほどで。褒められれば褒められるほど、鼻の下をのばしながらうぉーって頑張る単純なタイプなので。

» 【前篇を読む】「30歳を過ぎて、産むか産まないかの選択を…」紗倉まな(32)が感じる、妊娠・出産への“見えない圧”〈悩みの1つに母との距離感も〉
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紗倉まな(さくら まな)

1993年、千葉県生まれ。国立高専在学中にSODクリエイトの専属女優としてAVデビュー。2016年『最低。』(KADOKAWA)で作家デビューし、この作品は後に映画化され東京国際映画祭のコンペティション部門にもノミネートされた。文芸誌『群像』に掲載された『春、死なん』(講談社)と『うつせみ』(講談社)は共に野間文芸新人賞候補作となり注目された。近著に『犬と厄年』(講談社)がある。

あの子のかわり

紗倉まな/著
1,870円 河出書房新社
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