CREA2026年春号の「美容は、楽しい? 美容は、苦しい?」特集が、現在好評発売中! CREA WEBではその一部を抜粋してご紹介します。

 いわゆる“おじさん”になってから美容に目覚めた、伊藤聡さんと爪切男さん。それぞれの著書には、化粧品売り場に立ち入る時の恥じらいや、初めてスキンケアをした翌朝の驚き、手をかけたぶんだけ肌が応えてくれる喜びが綴られ、どこかうらやましいような気持ちにさせられる。美容はふたりの“おじさん”の人生をどう変えたのだろう?


シートマスクはおじさんにとってハードルが高い

伊藤 爪さんには、ずっとお会いしたかったんです。ご著書、楽しく読ませていただきました。

 こちらこそ、お会いできて嬉しいです。伊藤さんは“おじさんの美容本”の先輩ですから。これ、よかったら使ってください(と、伊藤さんにシートマスクをプレゼントする爪さん)。

伊藤 こういうギフト、男性にもすごくいいですね。シートマスクって、おじさんにはけっこうハードルが高いアイテムだから。これを顔に貼りつけている自分を想像すると無性に恥ずかしいというか、男として大事なものを失うような気持ちになるんですよ。

 わかります。だから自分で買うのは無理でも、もらったら使う気になるかなと思って、周囲の男性に配っているんですよ。美容のきっかけになればいいなって。

――おふたりがスキンケアをはじめたきっかけを、改めて聞かせていただけますか。

伊藤 私の場合は、コロナ禍のテレワークで不摂生を続けた結果、死んだ親父そっくりに老け込んでしまったことが、スキンケアをはじめたきっかけです。以前から化粧水や乳液は使っていましたが、あくまでカミソリ負け対策で、容姿を整える目的で化粧品を買おうと思ったのは、この時が初めて。

 私は、近所の小学生軍団に、“太っちょゴブリン”と呼ばれて。当時は、己の不摂生を顧みず、鏡もまともに見ないくらいがかっこいいと無頼派を気取っていたのですが、そのなれの果てが、体重125キロのゴブリン。それがけっこうショックだったんですね。後日、何気なく立ち寄った深夜のドン・キホーテで、気づけば化粧品売場に足を踏み入れていました。

 手に取ったのは、“豆乳イソフラボン配合の化粧水”。イソフラボンといえば、好物の豆腐に含まれている体にいい成分だなと思い、買ってみることにしました。レジにいた顔なじみの店員さんには「これ豆乳じゃないっすよ?」って心配されましたけど。

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CREA 2026年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。