宮脇賣扇庵は、雑誌CREAの夏小物特集で商品をお借りして以来、お付き合いのある京都の老舗扇子店。先日、銀座にある東京支店で2016年の干支である猿(申)の扇子と出会い、そのほのぼのとした愛らしさにひと目惚れ。ふと“インテリアに取り入れてみようかしら?”と思いつき、そのまま連れて帰ってきてしまいました。

私が購入した茶席扇。お正月だけでなく普段のインテリアにも取り入れたかったので、竹馬で遊ぶ素朴な猿の絵柄をチョイス。左から、6寸表千家「三番叟」「竹馬」 各4,500円(ともに税抜)
同じ絵柄も、背景がソリッドな金色になるだけでイメージが一新。華やかな扇面は、銀箔を燻して黄色を塗ることで金色にした中金箔を使用しているそう。手前から、茶席扇 5寸黒塗「竹馬」「三番叟」「絵馬」 各3,600円(すべて税抜)

 いくつもある絵柄のなかから選んだのは、金色の大小の小石砂子を散らした扇面に、竹馬で遊ぶ猿が描かれた茶席扇。お店の方によると、扇子はすべて職人による手作りで、とりわけ京都では、扇骨作りから、金箔貼りや絵付けなどの扇面作り、さらに扇面に扇骨を付け、要を打って仕上げる作業までの各工程を、それぞれの道を極めた職人が分業して行っているのだとか。優れた職人たちの伝統的な技法を結集してひとつの扇子を完成させるなんて、なんとも贅沢な話ではないでしょうか。

 また一見、まったく同じように見える猿たちも、よく見ると、顔が可愛い、スタイルがいいなど手描きならではの味わい深さがあります。そんななかから自分だけの一本を選ぶのですから、愛着もまたひとしおなのです。

左:墨絵による絵柄は、シックでモダンな印象。同じ干支でも様々な画風があるので、色々とコレクションしてみたくなります。茶席扇 5寸黒塗「戯画」3,000円(税抜)
右:干支柄の扇子は、お財布に優しいお値段も挑戦しやすくて◎。よりお手頃な版画タイプでも、充分優雅です。茶席扇 手前から・5寸白竹 1,500円、6寸白竹 1,800円(ともに税抜)

 そもそも、扇子は平安時代に日本で生まれたアイテム。広く中国やヨーロッパで見られる扇子も、もとを辿れば日本から運び込まれたものだそうです。CREA世代の女性にとって、和小物をインテリアに取り入れるのは少々難易度が高いと思いますが、折しも季節はお正月。日本が誇るお道具で新年を迎えるのも素敵ですね。

我が家では実際にこんな風に飾る予定。お正月が過ぎたら、事務所の本棚にさりげなく置いてもおしゃれ。扇子と一緒に購入した飾り台は、壁掛けでも下に置いても使える2WAY仕様で重宝します。左右の写真はともに 茶席扇 6寸表千家「竹馬」4,500円(税抜)

【お問い合わせ先】
宮脇賣扇庵 東京支店

電話番号 03−5565−1528
URL http://www.baisenan.co.jp/

河井真奈 (かわい まな)
数々の雑誌で活躍するスタイリスト。モードとデイリーのバランスが取れたスタイリングに定評が。著書に『絶対 美人アイテム100』(文藝春秋刊)。

Column

河井真奈の「私が今、買いたいもの」

スタイリストの河井真奈さんが、プライベートで今リアルに欲しいと思っているほどお気に入りのアイテムをピックアップ!

2016.01.03(日)
文=村上治子