マレー半島とボルネオ島北部にまたがる常夏の国、マレーシア。実はこの国、知る人ぞ知る美食の国なのです。そこでこの連載では、マレーシアの“おいしいごはん”のとりこになった人たちが集う「マレーシアごはんの会」より、おいしいマレーシア情報をお届け。多様な文化が融け合い、食べた人みんなを笑顔にする、とっておきのマレーシアごはんに出会えますよ。
老若男女、国籍問わず、みんなに愛される「ヨントウフ」
先日取材に行ったとき、同行した編集者が店の前で足を止め「音さん、これ食べてみたい!」と。そういえば、以前遊びに来た母も「これ、おいしそう!」と興味津々。今回は、日本人の心をくすぐるルックス、そして食べやすさ100点満点のマレーシア料理、「ヨントウフ」を紹介しましょう。
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噛みしめるごとに野菜のうま味が広がり、ぷりんと弾ける餡の食感が舌の上で躍ります。うん、たしかにこの風味、おでんです!
ヨントウフの野菜にはすべて、餡がはさみ込まれています。たとえば、苦瓜は中央の穴部分に。細長いオクラにも、餡がぎゅうぎゅうに詰め込まれています。ただ、さつま揚げやフィッシュボールなど、すり身そのものもヨントウフの具として入っているので、わざわざ無理に詰めなくてもいいのでは……と思うのですが、これには理由があるのです。
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「ヨントウフ」は、中国の客家料理である「醸豆腐」がルーツ。オリジナルは、豆腐のなかにひき肉を詰めたもので、もともとは豆腐の料理です。それをマレーシア人が「何かに何かを詰めればヨントウフ」と理解し(拡大解釈?)、そこから様々な野菜を使ったヨントウフというスタイルの料理が完成!
2015.12.11(金)
文=古川 音
撮影=古川 音、三浦菜穂子