近茶流家元の母娘に聞きました!
贈り物は人情の表現 細く長くが大切です

文化文政以来の江戸懐石「近茶流」の宗家。柳原一成氏の妻・紀子さんは近茶文庫の文庫長として、娘の園子さんは近茶流柳原料理教室の助手として日本の伝統文化を継承している

紀子 どんなに相手のことを思って選んだものでも、100%気に入っていただけるかどうかはわかりません。贈り物とはそういうもの。でも気に入らなければ無駄なのかというと決してそんなことはなく、大切なのは心づくしの表現を細く長く続ける人情の反復。その表現のひとつが贈り物だと思うんです。

園子 ママ、結婚してからギフトノートをつけているのよね。

紀子 そう。いつ、どなたに何をお贈りしたかの記録ね。でもやっぱり失敗もあって、そのときは恥ずかしい思いもするけれど。そうして学習して、少しずつ贈り上手になっていくのではないかしら。

園子 いただきものの包装紙も、とっているわね。

紀子 いただいておいしかったものは次はどなたかに贈りたいもの。「お口に合うかわかりませんが、今とても気に入っているもので」と、自分が好きだから贈る、という気持ちも大切ね。

園子 自分では好きと思っても目上の方に対して気をつけなくては、と思うこともあるの。たとえば白い花束を「淋しい」と感じさせてしまったこと。不祝儀をイメージされるとは、思ってもみなかった。

紀子 そうね。年配の方は体力も落ちているし、内省的になっていることもあるから。特に白い花が大好き、という場合でないかぎり、見た目が華やかで、かわいらしくて、気持ちが華やぐ、縁起がいいものをお贈りしたほうがいいわね。

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2011.11.21(月)
text:Yoko Maenaka(BEAM)
photographs:Tamon Matsuzono
styling:Nao Fujiya

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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