最強の素肌美をつくり出すフルメイク

 スキンケアで、あまりにも大きな成功をおさめているからだろうか? SK-IIが“メイクアップカラー”をつくったと聞いた時、強い違和感を覚えた人が少なくなかったはず。いや、この違和感の正体は、SK-IIがいつもスキンケアで主張していることと、“メイクアップ”という行為が、ハッキリ矛盾しているせいなのかもしれない。

 SK-IIがデビュー以来ずっと訴え続けてきたのは、“透明感至上主義”。透明感こそが最上位の美しさであり、人をもっとも美しく見せるもの。この主張を裏付けるのが、SK-IIのミューズ選びだろう。

粉末化したSK-Ⅱ<ピテラ®>とスキンケア成分を組み合わせて全アイテムに配合したSK-Ⅱ COLOR。
a 左のクリーム状スキンケア層で目元を潤しながら、くすみを払った後、真ん中のライトカラーで透明感をプラス。右のアクセントカラーを締め色に。 クリア ビューティ アイシャドウ 全6色(写真は#91) ¥6825
b~f 左のスキンケア層の上に右のカラーパウダーを重ねると、内側からにじみ出るような血色とツヤが。クリア ビューティブラッシャー 全5色(写真はb #11、c #31、d #41、e #21、f #22) ¥6825
g クリアビューティ リクィッド アイライナー 全2色(写真はEL-1) ¥3360
hクリア ビューティアイブロウ ライナー 全2色(写真はEB-1)¥3360
i~m 各色に異なるパールを使い、唇のくすみを抑える。クリア ビューティ モイスチュア リップスティック 全8色(写真はi #441、j #422、k #211、l #421、m#221)¥5460/マックス ファクター(価格はすべて編集部調べ・10月21日発売)

 小雪は透明感の“権化”みたいな人だし、綾瀬はるかは透明感の“精”みたい。SK-IIとともに生きている桃井かおりは、むしろ、年を取るほどに透明感を増していく。さらにアメリカでのミューズは、ケイト・ブランシェット。この人はある映画で、“何もかもが透き通るような女”と表現された人。妥協なき透明感美人へのこだわりが見てとれる。

 もちろん、ラインナップも透明感を高めることを大前提としていて、テーマはつねにクリアな素肌。だから仕上がりは清潔感に溢れている。

 しかし、メイクアップはスキンケアでつくったせっかくの透明感を覆ってしまうもの。SK-IIイズムに反するものとも言える。でもだから、SK-IIはメイクアップをつくったのではないか!? せっかくの透明感をこわしてしまわない色ものを、自らの手でつくろうと考えたのに違いないのだ。

 その証拠に、それは従来のメイクものとはまったく違う。たとえばチークも一見“2色組のチーク”に見えるけれども、淡い方は“カラー”じゃなく“スキンケア層”。頰に透明感とみずみずしさをつくり出す前例のないフォーミュラが開発された。

 その上にカラーを重ねていくのだが、これは“血色”と自然な輝きをプラスするカラー層。カラーラインナップのすべてがこういうふうに、半分は特殊なスキンケア層、半分は色と立体感を与えるカラー層という組み合わせになっているのだ。

 アイシャドウも同様、一見3色組に見えるけれど、いちばん大きなゾーンはまぶたに透明感をもたらすスキンケア層。口紅も、なんと芯の部分がスキンケア層になっている。「SK-IIにしかつくれない透明感があるはず」という発想のもと生まれたこの絶対透明感メイク。だからできあがるのが、“お風呂あがりの肌”。なるほど、お風呂あがりって、どんな肌もいちばん美しい。これはそっくり、その人にとって最上級に美しい肌をつくり出すためのカラーメイクの発見。あくまで肌美人をつくるためのメイクなのだ。もっと言えば従来の色ものとはまったく違う、“スキンケアでもメイクでもないメイク”なのである。だから仕上がりは極めてナチュラル。でも単なる薄づきとは違う。絶対透明感で、最強の素肌美を丁寧に丁寧につくり出すフルメイク、決して無視できないはず。

Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数

Column

齋藤 薫 “風の時代”の美容学

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2011.11.22(火)
text:Kaoru Saito
photographs:Yasuo Yoshizawa(still life)

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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