各地のうまいものが集まるアンテナショップで脱・マンネリ鍋!
日本各地のお国自慢食材が揃う各ショップで、野菜や肉・魚、スープやタレはもちろん、シメのご飯や麺、お酒やデザートまで、鍋パーティーに欠かせない日本各地のご当地食材を徹底リサーチ。この冬は、東京にいながらにして日本のおいしいもので鍋パーティーを!
県の東側は「日本の背骨」とも表現される奥羽山脈がそびえ、南北に日本最大級の河川、最上川がゆったりと流れる山形県。雄大な自然がはぐくむ豊かな大地は、古くから穀倉地帯としても知られています。さくらんぼ、西洋なしの生産量は日本一。そして冬の鍋といえば、米沢牛も忘れてはいけません! 沿岸部と内陸部では食文化が異なると言いますが、今回は「おいしい山形プラザ」商品アドバイザーの齋藤康有さんに、内陸部でよく食べられている、山の幸をふんだんに取り入れた鍋を提案してもらいました。
◆ 野菜・きのこ
店外に山積みにされたワゴンが並ぶほど、野菜コーナーが充実している「おいしい山形プラザ」。齋藤さんに、さっそく鍋の材料を選んでもらいました。
ごぼうは、山形県中部にある白鷹町・岡の台地区でつくられているもの。
「硬い土壌で育った、歯ごたえある食感が特徴です。もともとは自家消費用に生産されていたものがおいしいと評判になり、10年ほど前から生産が復活したそうです」(齋藤さん)
真っ白で、ふわふわした独特の見た目が特徴の「やまぶしたけ」。その名の通り、山伏の衣装の袈裟懸の飾りにそっくりです。苦みやキノコ特有の癖がなく、しゃぶしゃぶにも向いています。産地は、山形県鮭川村。
「ふわふわの形状ですから、味しみは抜群。鍋にはもってこいです」(齋藤さん)
傘の直径が4~5cmあるナメコが並ぶのも、山形県のアンテナショップならでは。山形の家庭では、小ぶりのきのこより、大ぶりのきのこが人気なのだそう。
アメリカンドッグのように見える俵形の油揚げは、内陸部の南陽市など、置賜(おきたま)地方だけで作られているご当地伝統食。
「刻んでみそ汁に入れたり、甘辛く煮てご飯のお供にもなりますが、鍋のだし汁をたっぷり吸わせていただくのもおすすめです」(齋藤さん)
直径3~4㎝の玉状のこんにゃく。山形では「玉こん」と呼ばれています。甘辛い醤油ベースのたれで煮込み、串に刺して食べるほか、おでんのタネにもよく使われるのだそう。味がしみやすいよう、フォークなどで何度か刺してから鍋に入れるとよいのだとか。
◆ メイン
日本海沿岸の庄内エリアは「庄内豚」ブランドで知られるほど養豚が盛んで、豚肉を使った味噌仕立て。一方、牛肉を食べる文化が広がった内陸地域(村山、置賜)では、芋煮にも牛肉を使い、だしは醤油ベースという特徴があるそう。
米沢牛は山形が誇る黒毛和牛の最高峰ブランド。鍋に入れれば、甘みのあるお肉のエキスが溶け出して、一気にグレードアップ!
◆ だし・調味料
山形市十日町の老舗、丸十大屋がつくるだし入り醤油は、山形県民の食卓に欠かせない定番の調味料。2014年に発売50周年を迎えたロングセラー商品です。宗田かつお削りぶし、さば削りぶし、煮干、かつお削りぶし、4種の天然だしから手作業でだしを抽出しています。鍋料理には、5倍に薄めて。
◆ シメ
「お鍋のシメは、やっぱりご飯!」という人は、銘柄にもこだわってみて。山形のブランド米といえば、2009年から試験販売がスタートした「つや姫」。さめてもおいしいので、鍋の火を止めたあとも、ゆっくり味わえるのだとか。
米沢肉のエキスが溶け出しただし汁に「つや姫」を入れたら、おいしい雑炊のできあがり! あざやかな黄身が美しい庄内産の「わんぱくたまご」を溶き入れて、まろやかに仕上げるのもいいですね。
2015.01.28(水)
文・撮影=中津川詔子