前篇では『さとこはいつも』についてお話を伺いましたが、後篇では2人の娘さんのことや母親という“仕事”、「人生を彩った」というお弁当作りについてなど、プライベートな一面に迫ります!
「(有村)架純ちゃんが刺されるシーンは難しかった」石田ひかりが“追体験”した7時間
時間ができたら、全部でいくらかかったか計算したい
――石田さんは、映画で演じられた55歳の里子とご自身が重なるとおっしゃっていました。2人の娘さんのお弁当を16年間作り続けられたのですよね。
そうなんです。お弁当作りは自分の人生の中でも大きな出来事だったので、はじめて台本を読んだ時、監督が当て書きしてくださったんじゃないかと本気で思いました。でもきっと私だけじゃなく、私たちくらいの子育てが終わった世代の方々はみんな自分のことのようだと感じたのではないでしょうか。
ああやって、一生懸命家族のためにやってきても、家族はそれを当然のこととして受け止め、気づかない。里子が自分で自分へのご褒美にお花を買うシーンも大好きですが、やっぱり少し切ないですよね。かといって彼女はメソメソするでもなくあっけらかんとしていて、その逞しさも好きです。
――実際、石田さんもお弁当作りの卒業とともに子育てに一区切りをつけられ、どう感じていらっしゃいますか?
もう娘が2人とも成人を迎えたので、感慨深いですね。何といっても学費の支払いが終わったんです! これは本当に大きなことで、時間ができたら全部でいくらかかったか計算しようと思っているのですが……(笑)。嬉しさとともに、娘たちの成長を感じる出来事でした。
あとはもう、私は「家事卒業宣言」をしたのですが……。
――雑誌のインタビューで拝見しました!「私はお母さんを卒業します」とおっしゃったとか。
そうなんです。2年前に、「もう誰かのための家事はしません」と家族に向かって高らかに宣言しました。夫も娘2人も不服そうにはしていましたが(笑)。最初は渋々でしたけど、今は自分のことは自分でやってくれていますね。……「くれている」というか、当然だと思うんですけど(笑)。残された人生、娘たちに比べれば私の方が短いのだから、もう自分に時間を使わせてほしいという風に話しました。
文=文藝春秋第二文芸編集部 写真=杉山拓也
