「母ちゃんは基本ポンコツだから」
精神的に自立できたと思えたのと時期を同じくして、息子が高校を卒業した。ともさかは彼にも自立を促し、大学に進学しないなら家を出るよう勧めた。だが、いざ彼が出ていき、ぽっかりと空いた部屋を見ると後悔して、矛盾した気持ちになったらしい。
もっとも、息子は近所なので、いまでもよく会っており、一緒に暮らしているころより会話が増えたという。もともと良い母親でいることを早々に放棄したので、息子には自分の弱みをすべてオープンにできるようだ。「母ちゃんは基本ポンコツだから、それを受け入れた方がいいよ」と言われることもあるとか(「美ST」2023年6月11日配信)。
ちなみに2021年にともさかが立ち上げたアパレルブランド「マイ ウィークネス」は日本語に直訳すれば「私の弱点」だ。彼女によれば「好きすぎて、私はこれに弱い」「これにだけはどうしたってときめいてしまう」という意味で名づけたという。
ブランドを立ち上げたのは、コロナ禍で撮影がすべて止まって、今後どうなるかまったくわからなくなったとき、「やりたいことを形にしよう」と思い立ったのがきっかけだった。デザイン画も描けない素人ながら、チームのメンバーや工場の人の協力を得て、自分のつくりたいものを形にしている。
「マイ ウィークネス」はECサイトのみの取扱でスタートさせ、現在もショップは持たないものの、「試着してから買いたい」とのユーザーの声を受け、その後、たびたびイベントも開くようになった。俳優業と並行しつつ本格的にビジネスとなりつつあるが、《役者と服作りは全く違う時間軸のものです。全く違うから頭を切り替えて、面白がることができている》と彼女は話す(「WWD JAPAN」2023年7月21日配信)。
ともさかはデビュー以来、10代での拒食経験や20歳になる直前の舞台出演など事あるごとに、自分のために生き、自分の力で立つことの大切さを思い知らされてきた。それが40代後半になったいま、見事に自立し、まさに自分で自分の人生を満たしている。彼女は子育てや離婚の経験について語るなかで、かつての自分のいたらなさなど「弱さ」を見せることもしばしばだが、それも自信と余裕の表れではないだろうか。
文=近藤正高
