公演中、作者のつかこうへいが舞台を観に来たことがあった。その日の終演後、つかから「偉かったな、おまえ、ちゃんと立ってられて」と言われ、ともさかの心に深く刻まれる。

《つかさんは、役者がうろちょろ舞台上で動くのを嫌います。芯に立って、真っ直ぐ正面切って、それが主役だ。余計なことは、まわりの人間にまかせておけばいいんだから、おまえは正面切って立ってろって。だから、つかさんから「ちゃんと立ってた」と言われて、本当に嬉しかったですね》(『婦人公論』前掲号)

妊娠を隠してドラマ撮影に臨んだが…

 このあとも、ドラマ、映画、舞台に出演し、ドラマ『すいか』(2003年)での売れないマンガ家役など印象に残る役も多い。ちょうどこのころ、23歳で最初の結婚をし、翌2004年には男児を出産する。 

 妊娠がわかったのは、ちょうど主演ドラマ『新しい風』(2004年)のクランクイン直前だった。この時ともさかは、いまのタイミングでは誰にも言えないし、1クールはいけるんじゃないかと勝手に判断し、内緒にしたまま撮影に入った。

 だが、リハーサル中に貧血で倒れ、周囲から病院に行くよう勧められる。これに対し彼女は、病院に行けば妊娠がバレてしまうと慌てて、とっさに「私は病院に行けないんです!」と返すも、冷静になってから、現場に迷惑をかけてしまった以上、隠しておくわけにはいかないと観念し、ようやく打ち明けたという。

 妊娠がわかったときのエピソードは、ともさかが今年3月にゲスト出演したトーク番組で語ったことだ。同番組ではまた、子供を自宅で出産したことも明かしていた。それによれば、妊娠して病院で検査を受けたものの、そこで産む想像がなかなか浮かばなかったところへ、たまたま身近に自宅出産した人がおり、話を聞くうち興味を持ったらしい。幸いにも信頼できる助産師さんと出会い、医師ともしっかり相談して万全に条件を整えたうえで、陣痛が始まってから2日ほどかけて産んだという(テレビ朝日系『夫が寝たあとに』2026年3月17日放送分)。

 出産からわずか3ヵ月後、ドラマ『anego[アネゴ]』(2005年)で活動を再開する。仕事と子育てのバランスには苦労したが、それでも仕事は自分と向き合える大切な時間とあって、辞めるという選択肢はなかった。むしろ子供ができて、「この子のために頑張ろう」と働く意味が明確になったという(『MORE』2023年7月号)。

 子供がまだ授乳中の1歳半だった2006年には、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)演出の翻訳劇『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?』で、大竹しのぶ・段田安則・稲垣吾郎という錚々たる面々と4人芝居をするという、かなりの冒険もしている。

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