テクノロジーと熟練の手技がコラボレーション
「伝統工芸という言葉の枠を軽々と飛び越え、これからも続いていくための表現の手助けとして、新しいものを積極的に取り入れることに躊躇しない」。
幸央氏自身がこう語るように、錦山窯は新たな挑戦を続けています。そのひとつが、今回の展覧会に展示される、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)のアレクシー・アンドレ研究員との協業から生まれたシステム「Tomonami」を活用した新作です。
「Tomonami」は、創造性を「新しいアイデアを考えつく力」と「それらを評価できる力」の二要素と捉え、その醸成をテクノロジーで加速させることを目指して開発されたシステムです。テクノロジーが切り拓く表現と、熟練の手技による身体表現。対極にあるこれらを錦山窯という存在がつなぐとき、そこにはどんな世界が立ち上るのでしょうか? 工芸の次なる地平が垣間見れる話題作になりそうです。
さらに、同展覧会では、音楽家であり、詩人、タギングアーティストとしても活動する山崎円城氏とのコラボレーション作品も発表されます。
両者の交流は、2025年10月に錦山窯のギャラリー「嘸旦(むたん)」で行われたライブセッションから始まりました。今回の120周年記念企画では、山崎氏が約半年間に5回、錦山窯に滞在して制作。従来の「書く/描く」というプロセスに加え、素地の上に言葉を彫り込む、ペトログリフのような技法も取り入れられました。
テクノロジーや異業種アーティストとのコラボレーション……新しい世界との共鳴が、既成概念にとらわれない新時代の工芸の在り方を提示します。
デザインギャラリーで工芸を問う
会場となる「AXIS ギャラリー」は、1981年の誕生以来、国内外のデザインの発信拠点として時代に先駆けた活動を展開してきました。工芸作品を、異なるジャンルとして区別される「デザイン」のギャラリーで展示する意義とは何か。その問いの先に、錦山窯の「今」のものづくりの輪郭がくっきりと浮かび上がってくるはずです。
錦山窯が120年にわたり培ってきた伝統と、未来へ向かう革新。その原点とこれからの姿が交差する場所へ、足を運んでみてはいかがでしょうか? 10月10日(土)には、吉田幸央氏とアレクシー・アンドレ氏によるトークセッションや、山崎円城氏によるサウンドインスタレーションも予定されています。
「旦 ASHITA」- YOSHITA Yukio Exhibition -
開催期間 2026年10月9日(金)~13日(火)
開催地 AXIS ギャラリー(東京都港区六本木5-17-1 アクシスビル4F)
開催時間 11:00~18:00(最終日は17:00まで)
https://kinzangama.com/ashita/
