空間に漂う安心感に包まれてぐっすりと眠る
客室は、群馬県沼田市の職人による手仕事で作られた畳や障子でしつらえた和室で、畳のよい香りが空間に漂います。各部屋の天井の上と床下には空間が広がっているので、部屋ごとに区切られているものの閉塞感がなく、どこにいても人の気配を感じる作りになっているのが印象的でした。空気が纏う安心感のせいか、布団に横たわると、すぐにぐっすりと眠っていました。
朝食もまた、自分たちの手からはじまります。お米、お味噌汁、生卵、梅干し、季節のお漬物が用意されており、羽釜を使って自分たちでご飯を炊きます。炊き立てのご飯が持つ甘みと香り。梅干しの目が覚めるようなしょっぱさ。出汁のきいたお味噌汁。窓から差し込む朝の光の中で、みなかみの静かで豊かな時間をゆっくりと味わいました。
しらかば荘での滞在を終えて
しらかば荘のコンセプトは「本能に、問う。」です。食材を自らの手で料理し、薪で火を起こし、お風呂の湯加減を自分で調整する。それらはすべて、手間を減らすために現代社会が「解決」してきた行為たちです。しかし、その「解決」によって私たちが手放してきたものが、この場所では静かに戻ってきます。不便さが生む工夫の中で、五感が研ぎ澄まされ、眠っていた本能が鍛えられていく。しらかば荘の滞在は、単なる非日常体験の提供にとどまりません。それは、日常に「本能を持ち帰る」ための時間なのでした。
さらに、つかみやすいお玉で味噌をとく快適さ、手になじむ飯椀でごはんを食べる快適さ、よく切れる包丁で食材を切る快適さ、肌ざわりのいい部屋着や布団で過ごす快適さ……しらかば荘では、丁寧に作られたものがもたらしてくれるさまざまな快適さも享受することができます。「豊かな暮らし」には想像以上の奥行きがあることを実感し、また呼び戻した本能を使って、「豊かな暮らし」をさらに追及したい、そんなことを思わせてくれる滞在となりました。
しらかば荘
所在地 群馬県利根郡みなかみ町猿ヶ京温泉263
オープン 2026年4月10日(金)
アクセス 東京駅から新幹線で約60分、上毛高原駅から車で約20分
定員: 1~6名(1日1組限定一棟貸し)
宿泊料金 1泊270,000円~(税別)
https://shirakabaso.jp/
