揺らぐもの同士が出合うと何が起こるのか? 芸術の秋にふさわしい『いつでもいま ‒ ガラスに映す光』柿本ケンサク写真展が、東京・代官山で開催される。


私たちが忘れかけている“光”のこと

 映画『恋する寄生虫』やドラマ、広告映像、NHK大河ドラマ「青天を衝け」のメインビジュアルおよびタイトルバック演出などを⼿がける⼀⽅、国内外で写真・現代美術作品を発表する柿本氏。彼が、ヴェネツィアと京都を拠点に活動するガラス作家・三嶋りつ惠氏の作品を通して映る日常風景を捉えた。

 今回、柿本氏は三嶋氏の10点のガラス作品をレンズとして用いた。ガラスの位置を数ミリ単位で動かし、⾓度を変えながら通過する光の向こうの景色を撮影。⽬の前のものをそのまま写し取るのではなく、光と対話しつつシャッターを押すことで時間の流れや季節の空気、⾝体の揺れといった偶然性を切り取った。無色のガラスはムラーノ島の職人との協働により制作され、光や空気を柔らかく取り込んだもの。写真芸術も光があって成立する。写真とガラスという⼆つの異なるメディアを通して生まれた「光の記憶」は、「固定」と「流動」、「定着」と「融解」、「点」と「線」といった対話となって作品に昇華された。

光は輪郭を与える。
しかし同時に、その輪郭を溶かしてもいく。
その揺らぎのなかに、私たちは、⾔葉にならない世界の気配を⾒出す
――柿本ケンサク

 微かな光は、普段、私たちが見過ごしているものかもしれない。

 多忙な日々に忙殺されるなかで、流されることなくそんな貴重な瞬間を思い返したい。

『いつでもいま ‒ ガラスに映す光』柿本ケンサク写真展

会期:9⽉23⽇(⽔・祝)~10⽉4⽇(⽇)
時間:12:00−19:00(最終⽇は11:00-17:00)
会場:代官⼭ヒルサイドテラス・ヒルサイドフォーラム
住所:東京都渋⾕区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟1F
入場料: 無料
※同会場で10⽉3⽇(⼟)に柿本氏と三嶋氏のトークイベントあり。参加費など、詳細は公式ウェブサイト www.galleryonthehill.com