【次に流行るもう一曲】
moumoon「I'm Scarlet」

メンバーが主導的に作品を創っているという印象

伊藤 この「ローラの傷だらけ」の次週には、moumoonの「I'm Scarlet」がリリースされます。moumoonといえば、なんといっても資生堂のCMソングだった「Sunshine Girl」が世に知られるきっかけになった曲でしたが、洋楽っぽい乾いた感じと、女性的な可愛らしさが同居したサウンド&世界観ですよね。

山口 メジャーデビューして7年になるバンドですよね。僕の周りでも以前から評判が良いです。

伊藤 「Sunshine Girl」以外の曲はあまり聴いたことなかったんですけど。改めて聴いてみると、ELTやDo As Infinityの流れを汲んだavex traxらしい女男ユニットという印象を持ちました。

山口 僕は、avexと知って、ちょっと意外でした。avexは、クリエイティブにおいてプロデュースワークの比重が大きい印象があるというか、そういうプロジェクトが目立つのですが、moumoonは「メンバーが主導的にしっかり作品を創っている感」が強いです。

伊藤 そうなんですね。僕が感じたのは、そのプロデュースワークとメンバー主導の狭間なのかもしれません。何曲か聴いた中には、「Sunshine Girl」に似つかないavexらしい曲があったので違和感を感じたんですよ。

山口 友人でミュージックコンシェルジュと名乗っている、福島“ふくりゅう”龍太郎君が、激推ししてますね。それもあって注目してました。彼の審美眼は確かですから。

伊藤 お会いしたことあります。山口さんはたしか、ふくりゅうさんと一緒に本を書いてますよね?

山口 僕の最初の著作『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)は、彼との共著です。辰年の一回り違いなので、2人で「happy dragon」を名乗って、トークイベントを主催したりしていました。ミュージックコンシェルジュと名乗っていますが、ITにも詳しくて、プランナーやアドバイザーもできるマルチな才能の持ち主ですよ。

伊藤 そうですよね。なにか2人でITと音楽に関して色々とやっているなぁ、という印象ですが、sensorでしたっけ? もうやめちゃったんですか?

山口 トークイベント「sensor ~ it & music community」をやったことで、いろんな出会いがあったので、続けたいとは思っているのですが。お互い忙しくて、開店休業状態になっています。moumoonを聴いて、彼が雑誌「Barfout!」編集部時代にやっていた『authentica』というコンピレーションアルバムを、久しぶりに思い出しました。今も続けていたら、収録されてたでしょうね。

伊藤 なるほど、そういう位置づけですか。業界内にファンが多いということですね。

2014.08.12(火)
文=山口哲一、伊藤涼