今年の春頃、1頭のニシローランドゴリラがキャッチしたトマトをポンと宙に投げたあと、クールに食べる姿が話題となりました。そのゴリラは、名古屋市の東山動植物園で暮らす13歳のオス・キヨマサ。かつてイケメンゴリラとして注目を集めた同園で暮らすシャバーニの息子です。

 動画で確認できる、トマトを両手で優しくキャッチしたあと、手のひらに置いて宙にポンと放ってから食べる様子は、キヨマサ特有のものだと言います。

 詳しいお話を、東山動植物園のニシローランドゴリラ担当飼育員に伺いました。


目的があっての行動だと思う

「動画がきっかけで、キヨマサに注目してもらったことは素直に嬉しく思います。キヨマサをきっかけに、動物園のゴリラだけではなく、野生のゴリラ、そしてゴリラたちが置かれている状況について深く知ってもらえたら幸いですね」(飼育担当者・以下同)

 質量や重量がわからないかもしれない野菜を優しく、握りつぶさずにキャッチするところにも知性が感じられるが、キヨマサ特有の行動が見られるようになったのは、1年ほど前からだと話します。

「思い当たる節として、1つあります。以前は野菜――例えばトマトやナスは一口サイズに切って与えていたんですが、1年くらい前から切らずにそのまま与えるようにしたところ、手で持った野菜を宙にポンポンと投げる行動が見られるようになりました。

 運動場側から投げた野菜をキャッチしてもらうことがあるんですが、そういう場合も受け取ってから、宙にポンポンと投げてから食べています。その行動にどういう意味があるのかはわからないですし、握りつぶさないように優しく受け取るのも質量や重さを感じてそうしているのかはわかりません。なんせゴリラは喋れないですからね。ただ、キヨマサの中で何か目的があってやっているのは間違いないと思います」

 同園でのゴリラの群れは、リーダーのシャバーニを筆頭に3頭から形成されています。

「オスのシャバーニをリーダーに、メスのアイ、そしてキヨマサです。オランダで生まれたシャバーニはオーストラリアに渡ったあと、当園に来園しました。アイは以前いたリッキーというオスと、現在は高齢のため、当園のバックヤードで暮らしているネネというメスの間に生まれたコドモで、キヨマサはネネとシャバーニの間に生まれたコドモです。

 アイはシャバーニのコドモではないため、群れに入れた当初はシャバーニに攻撃されて怪我をしてしまうこともありました。

 様子を見ながら何回かトライするうちにシャバーニがアイを受け入れ、今に至ります。キヨマサはシャバーニとネネ、アイがいた時に生まれたため、スムーズに(群れへと)受け入れられました」

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