コテージに戻って見た信じがたい光景
「●●ちゃん……●●ちゃん……」
藪の向こうから聞こえてくるのは消え入るような男の声。なぜか彼の口にする名前が頭をすり抜けていくのです。
『思えば飲み会のときに「●●ちゃんがいる」って言っていたのも変だったよね。サークルの人でもないから、知り合いなのかと思っちゃったけど』
乱れる呼吸と吐き気を抑えながら、ロッジの扉を開けたDさん。
「……あの、ちょっと今トイレで、あの、私足音聞いて……それが……」
彼女が顔を上げた、そのときでした。
同級生たちも加わり総勢20人くらいでできた輪の中心に、見知らぬ女がこちらを向いて立っていたのが見えたのです。
その女の顔は、見えているのになぜか認識することができませんでした。
「さあ、思ったこと、気づいたことは遠慮なく言ってね!」
声を張り上げるI先輩。
「先輩、なんであのときと同じ場所を選んじゃったんですかぁー?」
「なぁんでだろうねぇ。最初は違う場所にするはずだったんだけどぉ。ごめん、私たちにもわかんないかも」
「あはははは」
「わはははは」
「Dちゃん。どうしたの、そんなところで?」
I先輩の言葉を受けた一同が、一斉にDさんのことを見つめました。
