ハロプロの人気アイドルグループ、アンジュルムのリーダーとして活動したのち、現在は詩と言葉のアーティストとして表現を続ける和田彩花さん。著書『アイドルになってよかったと言いたい』には、アイドルとして過ごした時間の光と影が率直に綴られています。うつ病を経験したこと、家族との関係、そして「憧れの仕事」と呼ばれる世界の内側。書くことで見えてきた、自分自身の変化についてお話を伺いました。

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書けば書くほど自分の心境の変化に気付けるようになった

――『アイドルになってよかったと言いたい』では、アイドル時代にうつ病に苦しんでいたことなど、ご自身の経験を率直に綴られています。和田さんにとって「書く」という行為は、どんな時間だったのでしょうか。

 もともとはアイドルの令和論のようなものを書いてほしいとご依頼をいただいたんです。ただアイドル時代の思い出話を語るより、実体験を通して今の社会につながるようなことを書けたらいいなと思っていて。アイドル時代は様々な悩みを抱えながら活動をしていたので、書くことが苦しさや悩みを整理することにつながっていきました。

 連載をはじめた当初は、二回目のうつを発症したばかりだったので調子も良くなくて。アイドル時代のことを悪くしか捉えられなかったし、とても悲観的だったんですが、書くことで家族との関係や、自分がどんな立場で仕事をしていたのかが少しずつクリアになっていきました。最初はこの苦しさをどうにか整理したいという気持ちが強かったのに、書いていけばいくほど「アイドルやっていてよかったかも」と思えるようになり、割と前向きになっていって。その変化に気づけたのは幸せなことだったと思います。

――ご家族についての描写も印象的でした。ご両親が群馬の自宅から東京まで送り迎えをしてくれていた間、家では妹さんがひとりで過ごしていたのではないかと、当時を想像する場面がありますよね。ご自身のことだけでなく、家族のことを少し距離をおいて見つめられるようになったのは、いつ頃からだったのでしょうか。

 アイドルをしている真っ最中は、妹のことまで考える余裕はありませんでした。周りのことに目を向けられるようになったのはアイドルを辞めてから。時間に余裕ができてよく帰省するようになったのですが、気づいたら家族の形が変わっていて。ぎこちなかったし、居づらさもありました。

 妹からは「この家の女王様はお姉ちゃんだ」って言われたこともあったんです。アイドルになるというのは、いきなり大人になってしまうことでもあるので、自分にそのつもりがなくても家族の中でリーダー的な立ち位置になってしまっていたのかなと思います。でも今は、自分の言いたいことをそのまま言えるようになったので、すごくラクになりましたし、ちゃんと娘として振る舞えるようになりました。

――家族のリーダーから、娘に戻れた今、どんな話をしましたか?

 自分は前向きにガンガン突き進むタイプでもなかったので、親に勧められたからアイドルになったとずっと思ってたんですね。なので、「私は勉強をしたかったのに、なぜアイドルにさせたの?」ということも聞きました。でも、親とざっくばらんに話しているうちに「辞めなかったのは私だよね」って気づけたんです。

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