一目惚れして即購入した秋谷の家

こぐれ 1989年、フランス革命200年祭の時に、私は1カ月ほどアパルトマンを借りて、パリをうろちょろしてたわけ。そのうち、いろんな部屋を見に行くようになったら、お気に入りの物件を見つけて、思い切って買っちゃった。

近田 おおっ、青葉台の家も買ったわけだし、かなり裕福だったんだね。

こぐれ まあ、ちょうどバブルの時期だったから、徹君がお金をよく稼ぐ人になりまして(笑)。

近田 はいはい。すっかり売れっ子カメラマンに出世してたもんね。

こぐれ それからは、パリと東京を行ったり来たりで。

 よくあんなにちょくちょく行けたもんだよね、飛行機代も高いのに。

こぐれ 結局、そのパリの家は、13年間持ち続けました。

近田 青葉台の一軒家を手放して、この秋谷の家に引っ越したのはいつ?

こぐれ 2014年。「東京R不動産」っていうサイトで見つけて、現地で内見した途端、このサンルームの開放感に一目惚れして、すぐに購入を決めちゃった。

 以前は、料理の撮影を行うキッチンスタジオだったみたい。

近田 まさに、このふたりにぴったりの家だよ。

こぐれ ここが終の棲家になると思う。最近は、どうやって最期を迎えたらいいか、よく考えるようになった。

近田 お互い、そういうことに思いを馳せる年になっちゃったね。しかし、僕らが出会ってもう半世紀以上が経つんだから、本当に感慨深いよ(笑)。

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こぐれひでこ

1947年、埼玉県生まれ。東京学芸大学卒業後、渡仏し、パリで生活する。帰国後は、自らのアパレルブランド「2CV」を設立し、デザイナーとして活動した後、イラストレーターに転身。食やライフスタイルに関するイラストやエッセイを執筆し、多数の著書を発表する。現在、ウェブサイト「ROOMIE」にて、2000年から続く長寿連載「こぐれひでこの『ごはん日記』」を毎日更新中。夫は、雑誌や広告の第一線で活躍する著名フォトグラファーの小暮徹氏。
https://www.roomie.jp/rkfeature/kogure-hideko

近田春夫(ちかだ・はるお)

1951年東京都世田谷区出身。慶應義塾大学文学部中退。75年に近田春夫&ハルヲフォンとしてデビュー。その後、ロック、ヒップホップ、トランスなど、最先端のジャンルで創作を続ける。文筆家としては、「週刊文春」誌上でJポップ時評「考えるヒット」を24年にわたって連載した。著書に、『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』(リトルモア)、『筒美京平 大ヒットメーカーの秘密』『グループサウンズ』(文春新書)などがある。最新刊は、半世紀を超えるキャリアを総覧する『未体験白書』(シンコーミュージック・エンタテイメント)。
X @ChikadaHaruo