7カ国で不妊治療。採卵から着床まで300万円かかる国も

――その後、7カ国で不妊治療を受けたとおっしゃっています。

 治療を進める中で、年齢によるリスクをより現実的に意識するようになり、「もっと選択肢を広げたほうがいいのでは」と考えるようになりました。そんなとき、クライアントであるドバイの王族から「本気で妊娠したいなら、ちゃんとしたドクターに診てもらったほうがいい」とご紹介いただき、仕事の合間にドバイのクリニックへ行くことに。

 でも、すごく腕のいいドクターだとご紹介いただいたのに、すぐには妊娠できなかったんです。そこで、セカンドオピニオンを求めて、アメリカ、ドイツ、タイなど、結果的に、7カ国で治療を受けることになりました。最終的に着床に成功したのはドバイで採卵した卵でしたが……。

――海外での不妊治療は、日本とどう違うのでしょうか。

 国によって治療の進め方や考え方は違いますが、圧倒的に違うのは、費用面です。当時、日本だとだいたい採卵から着床まで150万円くらいかかると言われていましたが、海外だと200万円以上。アメリカだと300万円くらいかかるのが普通でした。

 また、治療方針や法的背景も日本とは大きく異なりました。たとえば、日本でも昨年から検査の対象者が拡がった「PGT-A検査(着床前胚染色体異数性検査。体外授精した受精卵を子宮に戻す前に行われる)」についても、検査を実施するかどうか、また検査結果をどう扱うかは国によってさまざまです。

 治療以外で言うと、海外では卵子がいまどのような状態なのか、担当医が丁寧に説明してくれることが印象的でした。日本のクリニックだと、内視鏡で卵を確認する際の時間は長くても10分ほど。内視鏡を担当するのも、担当医とは別の方であることが多いです。その一方で、アメリカやドイツのクリニックでは、パートナーも同席の上、担当医が20分から30分もかけて丁寧に見てくれるんです。

――治療が続く中で、どのようなことが大変でしたか?

 何回も病院に通って、待合室で順番を待つ必要があったりして、不妊治療って時間がものすごくかかりますよね。加えて、私の場合海外での不妊治療もしていたので、費用も莫大にかかる。当時は稼いだお金をすべて不妊治療につぎ込む、という生活をしていました。

 そうやって時間もお金も費やしているのに、結果をなかなか得られないわけです。それまで結果重視で仕事をしてきた私にとって、「結果が出ない」ことは本当にこたえました。あまりにストレスを感じて、うまくいかない理由を医師のせいにしてしまったこともあります。

 治療による体への負担も大きかったです。採卵するために行うホルモン治療で精神的に不安定になりましたし、ホルモンバランスが崩れて太ってしまったことにも落ち込みました。不妊治療中に離婚する夫婦が多いと聞いたことがありましたが、肉体的にも精神的にもすごく女性に負担のかかる治療なのだと、自分が経験してあらためて気がつきました。

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