年に一度は受診する健康診断。しかし、ほとんどの人がその結果を活かしきれていないという。ここでは、年間3万人の患者を診察する総合診療医・伊藤大介さんによる新刊『健康診断でここまでわかる』(文春新書)を一部抜粋して紹介します。
健康診断におけるC判定、D判定の“本当の意味”とは――。(全2回の2回目/最初から読む)
健康診断の結果表を受け取り、あなたは最初にどの欄を見るでしょうか?
結果表の形式は受診した病院や医療機関によって異なりますが、それぞれの項目の数値そのものよりも、まずは「A~E」のアルファベットで記載される5段階の判定結果Aに目が行くと思います。
とくに注意すべき判定は?
一般的に、A~Eの判定結果には以下のような意味があります(「日本人間ドック・予防医療学会判定区分」2025年版参照)。
・A判定:異常なし
・B判定:軽度の異常が疑われる
・C判定:要再検査・生活改善
・D判定:要精密検査・治療
・E判定:治療中
私が5段階の判定で、とくに注意すべきだと思っているのは、「C判定」や「D判定」が出たときです。C判定の「要再検査・生活改善」は、分かりやすく言えば「再検査が必要だが、すぐに治療が必要なほどではない状態」です。D判定の「要精密検査・治療」は、検査が必要ということですが、より厳密に言うと「放置すると病気が進行する可能性がある状態」です。
たとえ「要再検査」「要精密検査」などと書かれていても、具体的にどのくらい深刻なのか、患者さん自身で判断するのは難しく、「C判定だから大丈夫だろう」「D判定だけど、病院に行く必要はない」などと高を括ってしまい、つい放置してしまうことも多い。
ですが、一歩間違えれば深刻な病気になりかねない分岐点のような状態でもあるので、私はこのC判定、D判定にこそ注意を払うべきだと考えているのです。
