この記事の連載
井川 遥さんインタビュー【前篇】
井川 遥さんインタビュー【後篇】

井川 遥さんが芸能界デビューしたのは1999年。女優としてのキャリアを着実に積み重ね、プライベートではおふたりのお子さんを持つお母さんでもありますが、その美しさは年齢を重ねるほどに輝きを増しています。
そんな井川さんが出演されているのが、話題の映画『見はらし世代』。世界から注目を浴びる団塚唯我監督の長編デビュー作でもある本作はカンヌ国際映画祭の監督週間に出品され、日本人監督史上最年少での参加が話題となりました。東京・渋谷の再開発が進む街を舞台に、家族の喪失や親子関係を紐解いていくストーリーをバックボーンにしながら、ご自身もお子さんをお持ちの井川さんに“家族”や“母親”という役割についてお話を伺いました。
ひとりの母親だからこそ、私自身の経験を通して役に向き合えた

――とても余韻が残る作品という印象ですが、今回の脚本を読まれて、どの部分が一番心に響きましたか。
それぞれの立場で10年という歳月を捉えた視点です。“家族”という普遍性と同時代性のあるものを融合させている温度感は、団塚監督にしかできない世界観だと感じました。
――「由美子」という役を演じるにあたって、役作りで悩まれたりした部分はありますか?
私も同じ母親として役に共感する部分が多くありました。体の変化や生活の変化への戸惑い、キャリアを諦めなければならない葛藤。育児中に孤立したような気持ちになることは多くの女性が経験したことがあると思います。由美子はずっと独りで抱え込んでしまったんだと思います。
夏編と冬編で、作品の後半は10年後の家族が描かれています。その時の由美子の気持ちをどのように捉えるか、撮影が空いた半年間はじっくり考える時間になりました。
2025.10.04(土)
文=前田美保
撮影=佐藤亘
ヘア&メイク=松田麻由子
スタイリング=青木千加子