暑い。蒸す。こうも暑いと食べたくなるのがカレーである。「カレーライス」が登場したのは明治初期。明治後半には「カレー南蛮そば」が誕生した。
中目黒にある「朝松庵」は明治25(1892)年頃、四ツ谷にあった杉本商店は明治30(1897)年代、また早稲田にあった三朝庵は明治40(1907)年頃、「カレー南蛮そば」を誕生させた。
「カレーせいろ」は進化系
さて今回は「カレーせいろ」の話である。その発祥については定かではない。ただ、「カレー南蛮そば」が世に誕生して間もなく登場していたと考えている。「もりそば」や「ざるそば」があれば、つけ汁をカレー南蛮のつゆにするのは容易だからである。
台東区浅草にある大正3(1914)年創業の「翁そば」では「カレー南蛮そば」が有名であり、これのつけ汁を別にした「カレー南蛮ルー別」というメニューがある。これがまさに「カレーせいろ」のことである。「カレー南蛮そば」ができて、さらに「カレーせいろ」が誕生したということはカレー系の進化系のメニューということもできる。
老舗そば屋では「カレーせいろ」は人気メニューだが…
町そば屋や老舗そば屋では「カレーせいろ」はすでに人気メニューだが、立ち食いそば屋ではそれほど広まってはいないと思う。しかし、今年になって面白い取り組みも始まっていた。「カレーせいろ」発祥の地と発声した埼玉県川口市では、令和7年3月に川口にある「いろり庵きらく」で「川口かれーせいろ」を店舗限定発売して話題になった。
猛暑の令和7年の夏、東京近郊の大衆そば・立ち食いそば屋ではどんな「カレーせいろ」が流行っているのだろうか。3店ピックアップしてみた。
2025.07.22(火)
文=坂崎仁紀