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 ロシアの名門マリインスキー劇場で活躍する日本人バレエダンサー、永久メイさん。今、最も注目を集める若手ダンサーの一人である彼女が、2025年4月、東京バレエ団の『眠れる森の美女』にオーロラ姫役として客演し、日本で初めて全幕の主役を務めた。異国の第一線で日々舞台に立ち続ける彼女に、まずは今回の公演について聞いた。


私にとって一生思い出に残る公演だった

――今回の来日公演について、まずは率直な感想をお聞かせください。

 今回は東京バレエ団の『眠れる森の美女』にオーロラ姫役でお声がけいただいて、日本では初めて全幕の主役を踊らせていただきました。日本のバレエ団の方たちと一緒に踊るのも、そして日本人のパートナーと組むのも初めてで、本当に初めてづくしの公演でした。

 2日間の出演でしたが、私のバレエ人生の中でもとても貴重で特別な経験になりました。私にとって一生思い出に残る公演になると思います。

――東京バレエ団の『眠れる森の美女』はご自身にとってどのようなご経験でしたか?

 今までに『眠れる森の美女』を踊ったことはありましたが、今回は2023年に当時東京バレエ団芸術監督の斎藤友佳理さん(現在は同団団長)が新演出と振付を手がけたバージョンでしたから、過去に踊ったものとは振付も違っていたんです。

 でも東京バレエ団さんのスタイルはロシアスタイルなので、自分のスタイルと似ていて、とても踊りやすかったです。

 全幕だと責任も大きいですし、ガラ公演とはまた違った緊張感がありますね。私を見に来てくださる方もいらっしゃるので、自分のベストを尽くしたいという気持ちがすごく強くありました。

――東京バレエ団やデジレ王子役の宮川新大さんとの稽古についてはいかがでしたか?

 本番の10日ほど前に来日して、パートナーの宮川さんとリハーサルをしました。普段はロシア語で稽古をしていますので、今回は日本語で練習できたのが、とても新鮮でした。

 しかも、宮川さんはロシア語が話せる方だったので、ロシア語と日本語を混ぜながら、スムーズに練習できたのがありがたかったです。今回指導していただいた斉藤友佳理さんからもロシア語で指導を受けられて、すごく練習しやすかったです。

2025.07.16(水)
文=山下シオン
撮影=深野未季