リラクゼーションではなく、体の歪みにアプローチする本格整体

 温泉で体を緩め、健康的な食で腸を整え、整体で歪みをとる。この3つのアプローチによって、体のベースが整えられる。

 整体施術を担当するのは、レスリング日本代表決定選時の救護班の一員としても活躍した柔道整復師の金子将大さん。プランを企画した米山さんは、「リラクゼーションではなく、柔道整復師が本気で歪みをとる治療を行います」と話す。

 ぬる湯で体の深部体温を上げたあと、いざ整体ルームへ。問診で気になっていることを伝え、金子さんに身を委ねると、頸椎、骨盤……体の歪みの原因が次々と明らかに。

 「肩も首も、ずっとガチガチで固まっています。どこが悪いんでしょうか?」。通常は淡々と施術するだけかもしれないが、そんな問いにも金子さんは丁寧に答えてくれた。「右の骨盤が緩んでいて、仙骨が内側に入っていますね」

 慢性的な首の凝りは、実は右骨盤の緩みから来ていたことが判明。右肩を回すとゴリゴリと音がするのは、単なる運動不足ではなく「ルーズショルダー(肩関節不安定症)」という関節の緩みが原因だった。そして、腰痛のもとになっていた「仙骨のズレ」も、骨盤の歪みと股関節の緩みから来ているという。

 バキボキと荒療治をする痛い整体ではなく、あくまでもソフトな手技で歪みを整えていく。足首を回したり、臀部の筋肉の位置を調整したりと、一つ一つは小さな動きだが確実に体が整えられていくのを感じた。

 「ずれている関節を整える整体は、リラクゼーション目的のマッサージとは別物です。これまでマッサージを受けても変化を感じられなかった人に、ぜひトライしてもらいたいですね」と米山さん。

 さらに、家でもできるセルフケアとして、「歩くときは肘をしっかり引く」「壁に手をついて肩を回すストレッチ」などの歩き方のポイントや簡単な運動も教えてくれた。整体の施術時間は約50分。この体験をきっかけに、定期的に自分の体をメンテナンスしようと心に決めた。

1日の始まりを整える“腸活”朝食

 翌朝の朝食は、白米に黒米ともち麦を加えたご飯に、焼き魚、湯豆腐、ひじきの煮物、ほうれん草のおひたしなど。納豆は自家製で、噛み締めるたびに豆の旨みが広がり、豆本来の味わいがしっかりと感じられた。

 全体で約350kcalと低カロリーながら、満足度は高い。レモングラスやラベンダー、アップルミントなど、朝採れのハーブを使ったハーブティーが朝の体を目覚めさせてくれる。

 「ひとり旅で過ごす温泉宿を、定期的なメンテナンスの場にする」。そんな新たな習慣を取り入れる人が、これから増えていくかもしれない。

養生館はるのひかり

所在地 神奈川県足柄下郡箱根町湯本554
電話番号 0460-85-5641
料金 1泊2食1人1万8,300円〜、整体付きの自律神経の養生プラン 1人2万9,850円〜
https://harunohikari.com/

野添ちかこ(のぞえ・ちかこ)
温泉と宿のライター/旅行作家

「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。NIKKEIプラス1(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」、旅の手帖(交通新聞社)に「会いに行きたい温泉宿」を連載中。著書に『旅行ライターになろう!』(青弓社)『千葉の湯めぐり』(幹書房)。岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部理事。
https://zero-tabi.com/

Column

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2025.06.26(木)
文=野添ちかこ
写真=平松市聖