選び抜いた2種のリンゴのアップルパイ

数ある果物のなかでもとくに大好きなのが、リンゴです。以前、私のつくるタルト・タタンを食べた青森のリンゴ農家さんに「おいしいけど、ウチのリンゴの味がしない」と言われたことは、私にとっての大きな転機に。本当の意味での「素材を生かしたお菓子づくり」を追求する、はじめの一歩となりました。
その後も様々な種類のリンゴをつくる日本各地の生産者さんたちと出会い、リンゴ愛をますます深めていくなかで生まれたのが、2種のリンゴを使った「アップルパイ」です。
毎年異なるリンゴのコンディションを把握することはもちろん、少しでも炊き方が狂えば酸味が抜けてしまったり、口当たりが悪くなってしまったりするので、五感で味や香り、状態を見極めることもとても大切。
手間も時間もかかりますが、新たな代表スイーツとして大切に守りたいひと品です。
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田中千尋(たなか ちひろ)
カフェタナカ グランシェフパティシエレガル・ド・チヒロ主宰。名古屋の自家焙煎珈琲専門店「コーヒータナカ」に生まれ育つ。21歳で渡仏、フランス菓子の技術、エスプリを習得する。帰国後は家業のお店を「カフェタナカ」としてリニューアルオーブン。モンブランや季節のタルトをはじめ、焼き菓子などを展開していく。2010年にクッキー缶「REGAL DE CHIHIRO (レガル・ド・チヒロ)」を発売。大切にしているのは、地球と自然、命の恵みに感謝し、生産者の想いが詰まった食材の個性を大事にして、お菓子をつくること。そして、紅茶やコーヒーと一緒に楽しむ、「お菓子とお茶」のマリアージュも探求している。名古屋の喫茶店文化と菓子文化を守り、笑顔溢れるティータイム文化の未来をつくっていく。

CAFÉ TANAKA PHILOSOPHIE カフェタナカ 幸せのティータイム
定価 5,500円(税込)
ハースト婦人画報社
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2025.06.22(日)
文=カフェタナカ
撮影=北川 鉄雄