この記事の連載
浅野順子×近田春夫 お悩み相談【前篇】
浅野順子×近田春夫 お悩み相談【後篇】
好評発売中の「CREA」2025年夏号では、母娘問題、職場の人間関係から、性やお金の悩みまで、OVER THE SUN(ジェーン・スーさん、堀井美香さん)のおふたりをはじめ、みうらじゅんさん、叶姉妹さん、上沼恵美子さんなど様々な「人生相談の名手」に読者の悩み相談に乗っていただきました。
今回の回答者は近田春夫さんと、浅野忠信さんの母・浅野順子さんです。
CREA 2025年夏号
『1冊まるごと人生相談』
定価980円
ゴールデングローブ賞助演男優賞を獲得した国際的名優、浅野忠信の実母が、浅野順子さん。その注目度は、今や息子にも匹敵する。
米兵の父と元芸者の母の間に生まれ、ハイティーンの頃は、山口小夜子、キャシー中島らの美少女が集った横浜の遊び人グループ「クレオパトラ党」の一員として名を馳せる。その傍ら、モデルとしても華々しく活躍。19歳で結婚し、ふたりの息子を育て上げた後は、40代で新しいパートナーとともに古着屋やバーの経営に携わり、60代を迎えて出会った次のパートナーである芸術家に背中を押され、画家に転身する。
まるで映画のようなそのライフヒストリーと類稀なるキャラクターに魅了されたのが、ミュージシャンの近田春夫さん。大きな反響を呼んだCREA WEBでの対談などを通じ、旧知の順子さんの魅力を積極的に伝道している。
順子さんと近田さんは、実は同学年に当たる。激動の時代を生き抜き、最先端のカルチャーを経験してきた74歳のふたりが、その濃厚にもほどがある人生から得た叡智をここにお裾分け!

【相談】私も何かにトライしたい!
順子さんは、60歳を過ぎてから本格的に絵を描き始めたという記事を目にしました。私もそんな生きがいや新しい趣味が欲しいです(仕事にするのは厳しい気がしていますが)。今のところ、「これをやりたい!」というものはありません。絵は、得意だから始めたのでしょうか。それとも、やりたいから始めたのでしょうか。(50歳・女性)
「日常の中に興味の種は隠れている」(浅野順子さん)
浅野 子どもの頃から絵は好きで描いてたけど、人前で発表する機会はなかったのよね。でも、芸術家である新しいパートナーの男性との出会いによって、63歳の時、個展を開くことになった。
近田 その後、プロの画家として活躍するようになったんだから、人生、分からないもんだよね。
浅野 例えば、植木に水をやっていて、今日は花がきれいに咲いたなって思うことがあるじゃない? 気がつかなかっただけで、それは一つの才能だと思うのよ。実は、日常のそこかしこに、興味を広げてくれる種は隠れている。
近田 いざ始めてみると、集中できちゃうことってあるよね。
浅野 何歳になっても、人は新しいことを始められるものよ。
2025.06.08(日)
文=下井草 秀
写真=平松市聖
CREA 2025年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。