【静かな色調に込められた愛子さまの思い】ファッションに託したまなざし

 今年5月、能登半島地震の被災地へのご訪問に、愛子さまは、装いにも細やかな配慮を込められていました。

 ご訪問初日の18日にはグレーのパンツスーツ、翌19日にはグレンチェックのジャケットに黒いパンツを合わせて、両日ともに落ち着いたトーンと動きやすさを重視したシンプルなスタイルで臨まれていました。

 これらの装いは、派手さを抑え、被災者の方々に対して「寄り添う姿勢」を大切にされての選択だったと感じられます。色味を控えめにすることで、現地の空気に自然に溶け込み、過度な主張を避ける。そうした控えめで思いやりに満ちた姿勢は、ファッションにも表れていました。

 また、心なしかメイクも普段より控えめで、華美なアクセサリーなども見受けられませんでした。これは「被災された方々と真摯に向き合いたい」という愛子さまの思いの表れではないでしょうか。

 「国民に寄り添う」というお心を、ファッションを通して自然体で体現されていたように思います。まさに、成年皇族としてのご覚悟と成長が、改めて感じられるお姿でした。

 これからも愛子さまがどのようにご自身を表現され、皇族として歩まれていくのか。その装いに注目することは、私たちが皇室の現在を見つめ、未来に思いを馳せることにもつながっていくのではないでしょうか。

2025.06.04(水)
文=つげのり子