この記事の連載

 アラ還にして想像を遥かに超える美しさを誇る君島十和子さんが絶大な人気を集めるのは、天から授かった美貌を甘やかすことなく、肌や身体に関する膨大な知識を深め、それを自らプロデュースするスキンケアブランドの開発へと情熱を持って注ぎ込むその姿勢や、SNSなどで見せてくださる飾らない人柄ゆえ。

 そんな十和子さんが新しくレシピ本『君島十和子のおいしい美容「腸活レシピ」』を今年2月に上梓。彼女が外からのお手入れ以上に心血を注いでいる、内側からのケア「腸活」を簡単に正しく進められるようにと、誰でもトライできるレシピが数多く掲載されています。十和子さんに腸活を始めるに至った経緯や、効果などについて伺いました。


お通じがあるからと、安心してはダメ

――20代の頃はお肌にコンプレックスがあったと書籍にありました。腸活と肌のコンプレックスが交差したタイミングやきっかけについて教えてください。

 私が20代の頃は情報を得るのが難しく、自分の肌が紫外線によって変わってしまったことを何とかするために、やみくもにいろんなものを肌に塗っていました。それが原因で肌トラブルを起こしてしまい……。そこから編集の方やヘアメイクさんに情報収集をした中に、「ヨーグルトを食べると肌がキレイになる」というのがあったんです。

 当時はインターネットもないので、それを信じて、ひたすらお砂糖の入っていないヨーグルトを食べ続けました。同時にもちろん紫外線の防御をしたり、水分をたっぷり肌に与えたり、手探りで続けていくうちに、20代後半になってやっと「お肌、キレイね」と言われるようになってきたんです。でも“腸内環境”なんてことはまったく考えずに、ひたすらヨーグルトを食べていました。

 当時は、肌の状態でモデルの仕事の量が決まるような時代(笑)。ニキビを作って現場に入ろうものなら、編集の方に烈火のごとく怒られていましたから、本当に必死でした。

――そこが腸活との最初の出合いだったんですね。

 もともと腸は強いほうだと思っていました。腸とメンタルの関係に何となく気が付いたのは、30代後半です。子どもの試験や発表会、受験となるとお腹が痛くなることに気が付いて。

 自分自身に対してはわりと図太い性格なのですが、子どものこととなると途端に。みんなで同じものを食べているのに私だけお腹が壊れるみたいな感じだったので、「腸はメンタルと繋がっているんじゃないかな」と思い始めました。

 腸が大切なんだと世間的にも言われ始めたのは多分2000年前後だと思います。近年では『腸活』という言葉も生まれて、取りあげられるようになりましたが、ここ4〜5年ですよね。コロナ禍が始まり、皆が“健康”に関してもっと注目し始めた頃です。薬もないから、自分の免疫を上げるしかないとなったときに、初めてちゃんと注目されたのだと思います。

――目で見て分かる肌などと比べると、腸の状態の良し悪しは判断しづらいですね。

 「毎日お通じがあるし、私に腸活は必要ないです」と言われる方も多いです。しかし、私たちは毎日違うものを食べていますし、いろんなところへ行き、様々な菌を体内に取り込んでいるわけですから、実は腸内環境は毎日同じではないんです。だかこそ、お通じがある=腸内環境がいい、とは限りません。

 逆に言うならば、便秘だからといって、腸内環境がすこぶるよくないというわけでもないんです。一週間お通じがないのは困りますが、3日間くらいなら、それを気にするほうが腸にとってはよくない。すごく奥深くて面白い臓器です。

2025.04.23(水)
文=前田美保
写真=深野未季