岡村靖幸さんが毎回トークテーマを設定し、ゲストと対談する新連載「岡村靖幸の〇〇(まるまる)。」がスタート。
初回のテーマは「嫉妬」で、ゲストは先日『ラヴィット!』MCとして人気司会ランキング1位に輝いた麒麟・川島明さん。『週刊文春WOMAN2025春号』より一部を抜粋してお届けします。

実力がないまま「M-1」でバーンと売れてしまった
岡村 やっぱり「M-1」って特別なんですか?
川島 「M-1」があったから成長したと思います。でも、めちゃめちゃしんどかった。僕ら無名の頃に、しかも2001年第1回目の「M-1」の決勝に出て、それで世間に名前と顔を知ってもらって。稼げるようになったなぁ、舞台が増えたなぁとなったんで。「M-1」があの頃のすべてでした。
岡村 最初に出たとき、松本人志さんに褒められましたよね。「自分の中では最高点」と言われて。

川島 嬉しかったです。だからその後がしんどかった。ネタが2本しかないのに「M-1」に出て、松本さんが褒めたぞ、島田紳助さんも喜んでたぞ、となって、その翌年からレギュラー6本。でも、やっぱり実力がない。ネタも相変わらず2本のまんま、漫才の実態もない。それで翌年の「M-1」は決勝にも行けなかった。フォームもぐちゃぐちゃやし、何してたんやこの1年と。ショックでした。
岡村 その後、田村さんの自叙伝『ホームレス中学生』が爆発的に売れるじゃないですか。
川島 07年、08年辺りですね。225万部売れましたから。
岡村 映画化されてドラマ化もされて、『ホームレス中学生』現象が起きて。でも、コンビとしては少々微妙ではなかったですか?

川島 『ホームレス中学生』とは関係なく、その頃、あまりうまくいかなくなってたんです。「M-1」が04~06年の3年間は決勝には出るけど3位止まり。僕らより後に決勝に行ったチュートリアルさん、ブラックマヨネーズさん、サンドウィッチマンさんが優勝して売れていく。いまのままやと勝てへんぞと。
それでいろいろ変えたんです。相方をボケさせて僕もボケるとか。すると劇場でもウケなくなってしまって、07年の「M-1」は準決勝敗退。ほんで、相方の本が大ベストセラー。
岡村 苦しいですよね。
2025.04.01(火)
文=辛島いづみ
写真=杉山拓也
ヘアメイク(岡村靖幸さん)=マスダハルミ
ヘアメイク(川島明さん)=足立光世