今年も、50名以上の贈りもの上手な皆さんにお気に入りのアイテムやセレクトのコツを伺いました。おいしいものから日々を豊かにしてくれる雑貨、憧れのファッションアイテムまで600点以上が勢揃い! 「CREA」2025年冬号より一部をご紹介します。

CREA 2025年冬号

『贈りものバイブル』

定価980円


世界的ショコラティエが毎年フランスへ持ち帰るもの

 バカンスは毎年、家族とともに京都で過ごします。折りたたみ式の自転車に乗って、鴨川べりを走り、街を巡るのが大好き。そのなかでも僕は、いつもおいしいものを探していて、野菜でも、お菓子でも、レストランでも、どこに行っても好奇心を忘れず、素敵なものに出合いたいと思っています。

 僕は決して、ラグジュアリーな高級ブティックをうろうろするタイプではありません。出合いたいと思うのは、シンプルだけれど質の高いもの。日本の職人文化は本当に素晴らしいですね。仕事がていねいで、まじめで、できあがるものはいつも完璧。味覚についても、日本人はヨーロッパ人とは違う舌の繊細さがあって、風味を利き分ける力があると思う。そうした“本物”に、強く惹かれます。

 誰かに贈るものでも、自分のためのものであっても、僕はそうした志のある人たちがつくるものを選びたいと思っています。

 「京菓子司 末富」のお菓子は伝統を守りつつもモダンさが感じられ、洗練された味わいの「野菜煎餅」は、パリの友人たちへのおみやげにも大好評。「唐長本店・雲母唐長」の唐紙のグリーティングカードは模様が抽象的で、つつましやかで美しく、とっておきの挨拶状を書くときのために、大切に使っています。

 日本では、「bonne volonte」の薪窯で焼く「クリームパン」にしろ、「大黒屋鎌餅本舗」のご主人が一つひとつ経木で包んでくれる「御鎌餅」にしろ、時間と手間をかけ、技の光る商品が身近に手に入ります。「御菓子司 聚洸」の「わらび餅」も、「山田製油」の「純国産炒りごま」も、みんなそう。フランスで考えればそれらはすごく貴重であり、同じ職人として頭が下がります。

 僕は、誰にでも僕のお金を渡そうとは思いません。どこで何を選ぶのかを自分で選択し、消費することは行動の第一歩なのですから。つまりそれは大切なものへの投資であり、すぐにではなくてもその一歩一歩が世の中を変えていく。僕はそう思うのです。


◆【唐長本店・雲母唐長】グリーティングカード

 1624年に創業し、唐紙文化を守り伝える専門店。先祖代々受け継がれる約600枚の板木から、和紙に手摺で写し取られた文様が織り成す、美しい装飾と陰影にため息。

「華麗で繊細な京都の唐紙が大好きです。特別な人には、この唐紙のグリーティングカードに万年筆で季節の挨拶を書いて送ります」(ジャン=ポール・エヴァンさん)

唐長本店・雲母唐長

http://kirakaracho.jp

2025.01.16(木)
文=瀬戸理恵子
写真=長谷川潤
協力=星のや京都

CREA 2025年冬号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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贈りものバイブル

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