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 専業主婦だった穏やかな生活が夫のリストラで一転、アラフィフにしてシングルマザーになった西﨑彩智さん。しかし片づけをしながら自問自答を繰り返すうちに「人生も子どもの学費も全部引き受けて生きていく」という覚悟が決まり、片づけの会社を起業するに至ります。

 お片づけ習慣化コンサルタントとなった西﨑さんは、「必要なのは変わりたいという気持ち、そして毎日10分だけでも片づけに充て、少しでもきれいになったら自分自身に“いいね”をあげること」と話します。西﨑さんの著書『人生が変わる 片づけの習慣 片づけられなかった36人のビフォーアフター』より、一部を抜粋して紹介します。


片づけに無関心な夫と理想を共有したらねぎらえる関係に

●CASE 家族構成さくらさん(33歳・教員)+夫+子ども1人

「私は昔から片づけができなくて、散らかっている家をどうにかしたいとずっと思っていました。でも夫には『俺は今のままで困っていないし、散らかっていてもなんとも思わない』と言われました」

 そう話すさくらさん。広めの4LDK の家の中には収納もたくさんありますが、夫婦ともに捨てられない性格のためにモノがあふれていました。さらに、当時生まれて4カ月だった息子のモノもどんどん増えていきます。

「お散歩のときも、リビングに置いてあるお散歩グッズを忘れて戻ることもしょっちゅう。定位置がないので、ムダな動きが多かったです」

 そこでさくらさんは片づけを決意。まずは自分のモノを中心に片づけ始めました。モノの量を減らすために家の中のモノと向き合います。彼女は思い出の詰まったモノをなかなか手放せないので、これはとても苦労する作業でした。小学校の頃の手紙や当時コレクションしていたメモ帳、中学校・高校時代の手帳など、ずっと保管していたモノばかり。

「あまり見返すこともないのに、入れられる場所があるから押し込めていたんです。でも、講座中に聞いた『空間が未来を助ける』という言葉が刺さりました。今、私と夫のモノだけでパンパンなのに、これから増えてくる息子のモノをどうしようと思って。何もない空間があってもいいんだ! と、気づきました」

 夫のモノは依然として片づかないままでしたが、決して「片づけて」と催促することはありませんでした。その代わり、「床がきれいになったら、子どもがハイハイできるね」「私はこの本をリサイクルに持っていくけど、何か一緒に持っていく本ある?」など、気持ちを促す声かけを続けました。

 すると、夫の行動に変化が見られました。ある日、夫が急に「手伝うことある?」と話しかけてくれました。

「うれしかったですね! たぶん、息子にとってのメリットを伝えたのがよかったと思います。そこから、いろいろと相談できるようになりました」

2024.12.01(日)
文=西﨑彩智