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5000のアワードに輝く、希少なテメキュラのワインとの出会い

 テメキュラ・バレーはいくつかの幸運な条件が重なり、ワインづくりに適した環境にあります。まず、夏は暖かく乾燥し、冬は涼しく、降雨量が少ない地中海性気候であること。

 太平洋まで22マイル(約35キロメートル)と近く、「レインボーギャップ」と「サンタマルゲリータギャップ」の2つの谷間から海の冷たい風が内陸に流れ込みます。

 また、“テメキュラ”という地名の由来である“霧を通して輝く太陽”のとおり、朝霧がよく立ち込めます。朝霧→日中の暖かな太陽→午後の太平洋からの風→涼しい夜、のサイクルがぶどうの生育に好影響を与えます。

 気候は北イタリアに似ているそうで、サンジョヴェーゼやモンテプルチャーノなどのイタリア系や、ヴィオニエなどのフランス系、テンプラニーニョなどのスペイン系のぶどうに適しているそう。ん? 聞いたことのない品種ばかり!?

 もちろん、おなじみのカベルネソーヴィニヨンやカベルネフラン、シャルドネなども育てていて、品種は20種ほどを数えるそうです。

 また、テメキュラ・バレーのワイナリーの多くはヴィンテージワインを少量しか生産をしておらず、米国でもリカーショップや食料品店で見かけることは珍しいのだとか。しかも国内外で5000を超える賞に輝き、専門誌『ワイン・エンスージアスト』では高評価の91点を獲得!

 そんな希少かつ高品質なテメキュラのワインとの出会いを求めて、ワイナリーめぐりに出かけましょう。ちなみに、アメリカの法律では、飲酒は21歳からです。

<おすすめワイナリー>

■サウスコースト・ワイナリー・リゾート&スパ(South Coast Winery Resort & Spa)

 2003年に創業した家族経営のワイナリーながら、カリフォルニア州の「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」に5回も輝く実力派。63エーカーの自社畑で栽培されたぶどうのみを使用し、ボトリングから保管まですべて自社で行い、サスティナブル認証を獲得しています。

 スペイン風の建物に、レストランやショップ、テイスティングルームなどを併設。ワインテイスティングは白や赤に加え、スパークリングやデザートワイン、スペシャリティワインもラインナップ。グラスでも、購入すればボトルでも楽しめます。グラス5種でUS$15~。

 レストランでは150種のワインを揃え、『ワイン・スペクター』誌でも高評価。宿泊施設やスパもあるので、ワイン尽くしの滞在が楽しめそう。

サウスコースト・ワイナリー・リゾート&スパ(South Coast Winery Resort & Spa)

https://www.southcoastwinery.com/

■ダンザ・デル・ソル・ワイナリー(Danza del sol Winery)

 テメキュラ・バレーの中でも11軒のワイナリーが集まる“デ・ポルトラ・ワイン・トレイル”沿いに、いち早く1972年開業したパイオニア。

 高台に建つテイスティングルームはテラス席がおすすめ。なだらかに起伏するぶどう畑を一望にできます。チーズやドライフルーツ、シャルキュトリーがセットになったボックスと一緒に、ピクニック気分でテイスティングを。平日US$25、週末US$28。

 また、専属ガイドとATV(四輪バギー)に乗り込み、ぶどう畑を訪れるツアー(US$70税別)もワイン好きなら、ぜひ。ぶどう畑でワインを味わいながら聞く、テメキュラ・バレーの歴史や土壌などの説明は、より興味が湧くはず。そしてぶどうが育つ地で飲むワイン、格別です。

ダンザ・デル・ソル・ワイナリー(Danza del sol Winery)

https://www.danzadelsolwinery.com/

■ヨーロッパ・ビレッジ(Europe Village)

 ひとつのエリアに、スペイン、イタリア、フランスの古き良き時代の村を再現した3つのワイナリーを併設した、テーマパーク的なワインリゾート。

 1970年代に若きビジネスマンがヨーロッパの田舎に訪れ、その地の食べ物やワイン、ライフスタイルに深く感銘。30年を経て、テメキュラ・バレーに土地を購入し、その情熱をカタチにしたのが、こちら。現在、スペインの「ボレロ」、イタリアの「ヴィエンツァ」が営業し、近々フランスの「セラビ」が開業予定と、段階的に展開しています。

 スペイン料理のレストランやイタリア食材を扱うデリカテッセンなど、ヨーロッパの食文化をカリフォルニアで1日にして周遊できるこちら、実は貴重な体験かも。

ヨーロッパ・ビレッジ(Europe Village)

https://www.europavillage.com/

2024.09.30(月)
文・写真=古関千恵子