2016年リオデジャネイロ、2021年東京とオリンピック2大会連続で出場している体操選手・杉原愛子さん。2023年に考案した日本初のスパッツ型レオタード「アイタード」は生理中でも安心して演技ができ、盗撮被害から選手を守ることができるユニフォームとして話題に。
インタビュー後篇では、生理が始まった頃にはすでにアスリートとして活躍していた杉原さんに、生理やPMSとの付き合い方を教えていただきました。(インタビュー【前篇】を読む)
吸水ショーツを穿いて練習すると安心できます
――女性アスリートにとって生理の問題は、切っても切り離せないと思いますが、杉原さんは、これまでに生理で悩んだ経験や、対策されていることはありますか?
私は生理もPMSも結構ひどい方で……以前は周期も不安定で、2~3週間ごとに生理があるような状態だったので、貧血の症状もありました。ピルを試したこともあったのですが、体に合わなかったようで副作用が辛くて、結局すぐにやめてしまいました。
周期が安定するようになったのは、武庫川女子短期大学で食物栄養科学部の先生からレクチャーを受けてからです。基礎体温を付けたり、定期的に体組成計で自分の脂肪量や筋肉量を測定することで、生理のタイミングを把握できるようになり、少しずつ生理の周期も安定していきました。
鉄分の多い食材を意識して食べるようにしたり、PMSの時期から痛み止めを飲むことで、生理中の辛い症状も緩和されています。
PMSの時はむくんだり、イライラしたりもするけれど、「しょうがない」と受け入れる。
あとは、高温期に入ってからは、いつ生理が始まってもいいように吸水ショーツを穿いて練習しています。それだけで気持ち的に安心できます。
――武庫川女子大学体操部のコーチ時代には、スポーツ向け吸水ショーツ「PlayS」の開発にも携わったそうですね。
大学の卒業生から共同開発のお話をいただいて、体操部のメンバーみんなで「こんな商品がほしい」というリクエストを出しました。それで作っていただいたのが、レオタードを着ていてもはみ出ない「ハイレグ型」の吸水ショーツです。肌に近いベージュなので、ちょっとぐらいだったら見えても目立ちません。
私はそれまで吸水ショーツを穿いたことがなかったのですが、とにかく吸水力が高くて、すぐに乾くので、ムレにくいんです。抗菌・消臭機能もあるので、ニオイも気にならないし。量が多い日はこれ1枚だとちょっと心配ですが、タンポンを併用すればストレスなく競技に集中できます。
2024.08.10(土)
文=河西みのり
撮影=佐藤 亘