仁和寺は西の嵐山と大内裏があった千本丸太町のおよそ中間で、京都では観光道路と呼ばれている、きぬかけの路沿いにあります。嵐電(京福電鉄)御室仁和寺駅を出ると正面に重文の二王門が見えます。
境内各所に各種の桜がありますが、最も有名なのが中門内の西側一帯にある約130本の桜苑「御室桜」です。その多くが、「里桜」や半八重の「御室有明」と呼ばれる品種の桜です。大ぶりで花弁が厚く色も濃く、2~3メートルと背が低く遅咲きなのが特徴で、市内の桜より10日ほど後になります。その中でも1本しかない「泣き桜」は新品種の可能性が高く、開花はさらに半月ほど遅いです。
仁和寺は、平安時代中期の886年に第58代光孝天皇が建立を発願されますが完成を見ずに崩御され、引き継がれた第59代宇多天皇が仁和4年(888年)に完成。寺名も年号から仁和寺とされました。宇多天皇は法皇になられてから、同地に御室御所と称する御所を建立、亡くなるまで住まわれました。その所以で、主に京都や奈良に多くある門跡寺院(皇族・貴族が住職をつとめる寺のこと)は仁和寺から始まっています。やはりこの寺も応仁の乱でほとんどが焼け、徳川家光が再建しています。
江戸時代に植えられた御室桜は、当時から花見の名所になり「わたしゃお多福 御室の桜 鼻が低ても 人が好く」(民間の歌)等とその特徴が歌われたりしました。
写真としては御室桜の間から見える五重塔が定番写真ですが、写す枝を色々と変えてみて、花をアップ目にしたり、引いて枝全体を入れたり、大きく空を入れたり入れなかったりと塔との絡ませ方に変化を付け、たくさん撮ってみるのがよいでしょう。南にある双ヶ岡の上から寺全体を眺めることもできます。
余談ですが、オムロンはここが発祥の地で、社名の由来になっています。
仁和寺へのアクセス
交通手段 京福電鉄「御室仁和寺」駅下車。市バス「御室仁和寺」下車。
小林禎弘
フォトグラファー。京都市生まれの京都市育ち。同志社大学を卒業後3年間の公務員を経て撮影の世界へ。雑誌、書籍、広告を舞台として、京都を中心に西日本を幅広くカバー。「撮影歴30年ですが、それくらいでは京都の事はまだまだわかりまへん」。
2014.03.17(月)
文・撮影=小林禎弘