父はギターを弾けないロッカー、祖父は稼がない琵琶奏者

浅野 希林さんのお父様、お母様とは?

内田 私が小学生のときに2人とも他界しました。祖父は警視庁の刑事だったんですよ。浅野さんはよく刑事の役をやりますよね。

浅野 ちょうどいま撮っている映画でも刑事をやっています。

内田 ドラマのような話ですが、祖父が祖母のカフェで張り込みをしているうちに、2人は恋に落ちたんです。本当は琵琶奏者になりたかったという祖父に、祖母は「私が稼ぐからあんたは好きなことをしなさい」と言ったので、祖父は刑事を辞めてしまいました。

 というわけで、父はギターを弾けないロッカーでしたが、祖父は稼がない琵琶奏者。「也哉子、なんで琵琶は流行らないんだろうね。どうすれば琵琶はマイケル・ジャクソンに勝てるのかね」とこぼしていたのを覚えています。

浅野 お祖父様もお祖母様もサイコーのキャラですね(笑)。

●浅野さんのハリウッドでの活動、息子の音楽への思い、別の人との新たなパートナーシップ、無言館で思う戦争の「形」についてなど、対談の全文は『週刊文春WOMAN2024夏号』でお読みいただけます。

写真・平松市聖 協力・戦没画学生慰霊美術館 無言館

あさのただのぶ/1973年神奈川県生まれ。ドラマ『3年B組金八先生』(88)を経て、『バタアシ金魚』(90)でスクリーンデビュー。『モンゴル』(2007)が米アカデミー賞外国語映画賞ノミネート。『私の男』(14)でモスクワ国際映画祭最優秀男優賞受賞。カンヌ国際映画祭ある視点部門で『岸辺の旅』(15)が監督賞、『淵に立つ』(16)が審査員賞を受賞。ディズニープラス「スター」で配信中のドラマ『SHOGUN 将軍』が世界的なヒットになっている。

うちだややこ/1976年東京都生まれ。エッセイ、翻訳、作詞、ナレーションのほか音楽ユニットsighboatでも活動。著書に『新装版ペーパームービー』『BROOCH』『9月1日 母からのバトン』『なんで家族を続けるの?』(中野信子との共著)など。Eテレ『no art,  no life』では語りを担当。本誌連載をまとめた『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』(文藝春秋)が現在9万部のベストセラーに。

週刊文春WOMAN Vol.22 24年夏号(文春ムック)

定価 715円(税込)
文藝春秋
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)

2024.06.26(水)
文=こみねあつこ