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詐欺被害者になったことも「こんなことになるなら猫を飼おう、と…」

――お世話も積極的にしているんですか?

 家族みんなでやってます。ごはんは俺と奥さんが買いに行くんですけど、3匹とも好きなものは一緒。これ珍しいなと思って買って帰ったものも、食わない時は3匹とも食わない。見向きもしないですね。そのまま捨てるのはもったいないので、ちゅ~るみたいなものと混ぜてあげたりしてますけど。

 3匹はいつも一緒にいて仲良しですね。じゃれ合ったりも、ケンカもするし。

 実は、こうなる前に子どもが動物を飼いたいと言い出したことが一度あったんですよ。でも俺は東京で飼うのはどうなのかなと思っていたので、動物のかわりに、ぬいぐるみをあげたら子どもたちも喜ぶかなと、ネットで見つけた猫のリュックを買ったんです。かなりリアルなつくりの猫の。そうしたら、ネット詐欺みたいなことに遭ったんですよ。

――それはどういう?

(掲載されていたものと)全然違う猫のぬいぐるみが届いたんです。SNSに投稿したらバズって、次の日『めざましテレビ』が取材に来たくらい。

 それも1つのきっかけかもしれない。こんなことになるなら、ちゃんと猫を飼おうっていう(笑)。

――栃木のご実家では猫を飼っていたんですか?

 飼っていました。小学校低学年の頃、ばあちゃん家の近くの床屋さんから「猫が生まれたから持っていけ」って言われて。行ったらシャムの仔猫が2匹いて、ちっちゃいほうの1匹をもらったんです。それが初代ぷーすけ。今いるぷーは2代目ぷーすけなんです。

 田舎だったので、ぷーすけは野良猫とケンカばっかりしてて、いつも傷だらけでした。俺は仲良くて10年くらいは一緒にいたんです。でも最期の1カ月は、座布団の同じところにずっと座ってて、もうダメかなと思っていたら、ある日いなくなったんです。

 そうしたら、じいちゃんが「あそこで死んでたわ」って見つけてきて……。悲しかったですけど、じいちゃんに「猫は飼い主に(最期の姿を)見せないんだよ」って言われて(死を)受け入れたところがあったと思います。

――それ以来の猫との暮らしぶりはいかがですか?

 楽しいですね。初めて家に来た時は嬉しかったですし、今も家に帰るのが毎日楽しみです。3匹一緒にごはんをカリカリ食べるし、寝る時も一緒にいて。

 俺、猫がごはんを食べてる咀嚼音が好きなんですよ。人間に無理やり起こされたらイライラしますけど、朝、猫がごはんを食べてるカリカリカリっていう音で目を覚ますのは幸せ。ありがとうって思いますね。

――日常に幸せな時間がたくさんできたんですね。

 本当に毎日かわいいなって思ってます。毎日すりすりするのも飽きない。仕事から一旦家に戻ると、子どもは学校で奥さんは出かけてたりして誰もいなかったりするんです。そんな家に猫だけがいるのを見ると、「おめぇ、ずっとここにいたんか」って。その時間が幸せで、癒してくれてるなぁって思うんですよね。

2024.06.22(土)
文=高本亜紀
撮影=石川啓次
写真=益子卓郎