母は件の先輩に、「こんど娘に手を出したら、私はただではおかない」って言ったらしいです(笑)。あのときは、「逆襲されたらどうしよう」と悪い方向に考えてしまいましたが、幸いにもそうならなかった。もうひとつ母はこう言ったんです。「あんたをいじめたあの子も心根は優しい子。私が話している間、ずっと膝の上のネコをなでてたよ」その言葉も学校へ行こうと思えた理由のひとつでした。

 そんな大変な思いもしたけど、私の場合は本が非常口になってくれた。子どもの頃から読んでいた絵本、それから、学校の図書室でめぐりあった本たちにどれだけ救われたか分かりません。

*通信制高校は、各学校によってシステムが違いますので、週1登校ではない学校もあります。単位数の扱いやスクーリング(登校)の日数等については各学校にお問合せください。(文春文庫編集部)

万葉と沙羅

定価 825円(税込)
文藝春秋
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)

2024.06.14(金)
文=「文春文庫」編集部