―― キャラクターへの深い愛が感じられますね。そんな高橋先生が「週刊連載をするうえで大切にしていること」のふたつ目は何でしょうか?

森脇 「自分のなかでの面白いハードルを絶対に下げない」ことです。週刊誌はスケジュールがタイトなので、どうしてもネームの時間がない、作画が間に合わないといった事態は起きるけれど、「ここを越えない作品は何があっても世に出さない」というラインを決めなさいとおっしゃっていました。『RINNE』のある回でも、いつもなら23時からネームに入って、翌朝の6時には上げてくださるのですが、その日はオチがまったく決まらなくて。でも先生は「時間がないからこのぐらいでいいだろう」と妥協せず、結局お昼近くまで粘りに粘ってくださったんです。

―― いただいたネームは、いかがでしたか?

森脇 感激しました。「確かに鮮やかだ!」と唸る完成度で。高橋先生は「漫画はあくまで漫画」であることにすごくプライドを持っていらっしゃるんです。どんなにつらい現実があっても、漫画をめくっている間はそれを忘れさせてくれる、とびきり楽しいエンターテイメントなんだと。46年間ずっと変わらないその姿勢がめちゃめちゃカッコいいなと、僕はシビれ続けています。

高橋留美子原画集 COLORS 1978-2024 (原画集・イラストブック)

定価 6,800円(税込)
小学館
» この書籍を購入する(Amazonへリンク)

2024.05.06(月)
文=「週刊文春」編集部