「受付担当の人がいるんじゃないの?」
そもそも、前出の「美容師が電話に出ている」という記述に対し、「でも、受付担当の人がいるでしょ?」「見習いのアシスタントが対応してくれるはずだから」と考えた方もいるかもしれません。
実は、昔と違い、現代の美容室ではレセプション(受付)担当がいない美容室の方が大多数です。更に、少子化に伴って美容師の成り手が少なくなり、今やアシスタントが貴重な存在となっていることから、「アシスタントが在籍していない美容室」もとても多いのです。
電話予約が主流だった頃は、電話番は「美容室の売上」に直結する重要な仕事でした。かかってきた電話を取り逃がすと、失客する(お客様がそれ以降来店しなくなってしまう)可能性が高まるため、当時は「2〜3コール以内に受話器を取る」ことが厳しく指導されているほど、電話を受ける作業は重要視されていました。
そのため、美容師(特にスタイリスト)と電話番とを分業するための「レセプション」を設ける美容室が多く、用意しない美容室であっても、アシスタントが「主たる仕事」として電話番をこなしていたのです。
ですが、時代の変容によって「ネット予約」が主流になると、電話予約は激減。そんな中でレセプションを設けると、別途かかる人件費が回収できないため、美容師自身が電話を受ける美容室が増えたのです。
ご連絡いただけるのはありがたいこと
冒頭では、「かえって迷惑」とあえて強い言葉で使ったものの、ご連絡をいただけるのといただけないのとでは、ご連絡をいただける方が美容師としてははるかにありがたいです。また、言うまでもなく、「キャンセル」の連絡は、たとえ施術の直前の時間になってしまったとしても、必ず入れましょう。
ふだん生活している中では知ることの少ない「美容室の事情」を、少しでもご理解いただければ幸いです。
2024.04.21(日)
文=操作イトウ