この記事の連載

梅本ゆうこさん[「マンガ食堂」管理人]

Q1:夜ふかしマンガ大賞に推薦する作品は?

●『霧尾ファンクラブ』地球のお魚ぽんちゃん/実業之日本社

 女子高生の三好藍美と染谷波は友人であり、同じクラスの“霧尾くん”を追いかける恋のライバルでもある。妄想気味でラブまでたどりつけそうもないふたりの一方通行の恋を抱く、ラブコメ。

「クラスメイトの“霧尾くん”に思いを寄せる女子ふたりの会話劇。女子の推し文化の勢いと狂気が感じられます」

●『鍋に弾丸を受けながら』原作:森山慎、作画:青木潤太朗/KADOKAWA

「“登場人物、全員美少女”というエッジの効いた設定ですが、本質はとても爽やかな紀行ルポ。旅に出て、新しい何かと出合いたくなります」

Q2:人生で影響を受けたマンガは?

●『ブッダ』手塚治虫/潮出版社(手塚プロダクション)

 群像劇的構成で描く、手塚治虫版ブッダ伝。シャカ族の王子として生まれたシッタルダが、生きる意味を問い、悟りを開いてブッダとなった生涯とは……。

「強烈に印象に残っているのが、飢えた獣に自分のカラダを差し出すアッサジのエピソード。子どものころに読んで、ガツンと殴られたような衝撃でした」

Q3:夜ふかしマンガの楽しみ方は?

「週末に座椅子に座り、タブレットでじっくり。読むのに集中してしまうので、意外とかたわらに食べものは置きません。楽しみな新刊が出たら、日付が変わった瞬間についベッドのなかでスマホで読んでしまうことも……」

Q4:いま、特に注目している作品は?

●『みっしょん!!』入江喜和/講談社

「自分も数年前からペーパードライバーを脱却しようと運転を再開したので、中年になって免許を取った、という主人公に興味津々。周囲の身近な例を見ても“中年女性とクルマ”の関係性はドラマが溢れているので、入江先生の描くストーリーがとても楽しみ」

●『きつねとたぬきといいなずけ』トキワセイイチ/マッグガーデン

「高尾山からやって来たかわいい2匹と、普通の会社員・田中の交流。かわいさのなかに垣間見える毒と闇にハマります」

Q5:いま、読み返したい名作は?

●『神聖モテモテ王国』ながいけん/小学館

「ちょっと前に思い出して読み直したのですが、いまなお古びない面白さとセンスにびっくりしたので」

Q6:とにかく泣きたい夜におすすめの作品は?

●『スキップとローファー』高松美咲/講談社

「思春期特有の人間関係と、丁寧に描かれる登場人物たちの心の動きに、毎回涙腺が崩壊してしまいます」

梅本ゆうこ(うめもと・ゆうこ)さん
ブログ「マンガ食堂」管理人

マンガに登場する料理を再現してブログ「マンガ食堂」で紹介。普段は会社員兼主婦。主な著書に『マンガ食堂』(リトル・モア)。

2024.01.21(日)
文=大嶋律子(Giraffe)