この記事の連載
パリの美味しいミュージアム #1
パリの美味しいミュージアム #2
パリの美味しいミュージアム #3
パリの美味しいミュージアム #4
パリの美味しいミュージアム #5
このところパリでは新しいアートスポットや、これまでの施設をバージョンアップしたものが続々と登場している。魅力的なのは、そこにもれなく美味しい店が入っていること。
観る楽しみと味わう幸福。その両方を叶えてくれる、とっておきの場所を5回に渡りご紹介しよう。
王朝時代と21世紀、一流の技と演出を満喫する
◆Hôtel de la Marine(オテル・ドゥ・ラ・マリーヌ)
Café Lapérouse Paris Concorde(カフェ・ラペルーズ・コンコルド)
![大広間に続くバルコニー。コンコルド広場を見下ろし、エッフェル塔を望む。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/b/1280wm/img_ebb5ac60f70b33b60001409637a547fb134591.jpg)
パリの中心、コンコルド広場に2021年、新しい美術館が誕生した。その名はオテル・ドゥ・ラ・マリーヌ。
![コンコルド広場から眺める館。ライトアップされた時間帯は姿も美しい。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/7/1280wm/img_57175aa3b735e97accd2136ef8d0a83b164299.jpg)
およそ200年間、海軍省として使われていた建物が、ヴェルサイユ宮殿かと見まがうばかりの荘厳さをまとって扉を開いた。
![ミュージアムの見どころのひとつ“サラマンジェ”。18世紀の絵画«牡蠣の昼食»をテーマにリアルなセッティングがされていて、食卓を囲む貴婦人たちの笑い声が聞こえてきそう。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/1/1280wm/img_11fb1c7e749bd304d34e4965ceb2d9e0146127.jpg)
![数々の舞踏会が繰り広げられた大広間。壁や天井を埋め尽くす卓越した装飾は息を呑むほどの豪華さ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/0/1280wm/img_c0405da3c0e67dc945fbb2561849a524223927.jpg)
そもそもこの建物は18世紀ルイ15世の時代に建てられ、ヴェルサイユ、フォンテーヌブローなど各地の王室邸宅の家具を開発・管理する機関「ガルド・ムーブル」が置かれた場所。
![総鏡張りの小部屋。鏡の表面に手描きされた繊細な絵、ファブリックのディテールにも夢がある。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/7/1280wm/img_47253867e2b63bc8060b6c2576bf841f230728.jpg)
長官の住居兼展示ギャラリーとしての機能もあったといい、当時最高峰の職人技がここに凝縮したのだ。
![18世紀当時のままのダマスク織の壁布が残っているコーナーも。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/e/1280wm/img_3e4b46cad89389bb7e84de0d7e7ac77d165268.jpg)
海軍省からミュージアムになるにあたっては、当代一流の技術者が数年がかりで内装を修復。フランスが誇る王朝時代絶頂の美が蘇った。
![バルコニーの脇の窓辺。さっきまで館の住人がそこにいたかのような雰囲気のある演出がいい。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/3/1280wm/img_f3be48e6e156c972c026a2f3824eb12b163631.jpg)
昼間の見学もいいが、日暮れどきはさらに格別。黄昏色を帯びた金色に染まる館。おそらくはこのような光のなかで歴史を動かした密談や世紀の舞踏会が繰り広げられたのだろうと想像が広がる。
![「カフェ・ラペルーズ」の店内。天井の高いリュクスな空間。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/9/1280wm/img_59ca9d82e36248e7a21d95ee8bf695b8265557.jpg)
そして、その夢心地が覚めやらぬうちに訪れたいのが館内の「カフェ・ラペルーズ」だ。「ラペルーズ」といえば、フランスの歴史の奥深さを今に伝える左岸の老舗レストランだが、そのカフェがミュージアムのオープンに合わせて誕生。
![明るさを控えた夜のレストラン。自分たちだけの世界に浸れる、ニュアンスたっぷりのお膳立てが心憎い。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/a/1280wm/img_5a9f67bb04b47ba4a3d1fca7ce25efe3131104.jpg)
内装を手がけたのは、「ディオール メゾン」のアーティスティックディレクターでもあるコーデリア・ドゥ・カステラーヌ氏。
![「カフェ・ラペルーズ」の定番、ビーフタルタル。程よく酸味を効かせた味付け。24ユーロ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/1/1280wm/img_e1bea9fb1f79ae66221978e7d92526e5100577.jpg)
海、コロニーといったワードが浮かんでくる様々なモチーフと多様な色彩が豊かなハーモニーを奏でる場所で、至福のフレンチを堪能したい。
![「カフェ・ラペルーズ」で人気の鶏料理。モリーユ茸の香り高いソースとともに。36ユーロ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/2/1280wm/img_f272b37d8a788553af75ac66af041d9663146.jpg)
Hôtel de la Marine(オテル・ドゥ・ラ・マリーヌ)
所在地 2 place de la Concorde 75008 Paris
開館時間 10:30~ 19:00(金曜~21:30)
休み 年3回の休館日
料金 17ユーロ ~
https://www.hotel-de-la-marine.paris/
Café Lapérouse Paris Concorde (カフェ・ラペルーズ・コンコルド)
電話番号 01 53 93 65 53
営業時間 8:00~ 11:00(朝食)、12:00~ 15:00(ランチ)、15:00~ 18:00(ティー)、19:00~ 23:00(ディナー)
定休日 無休
https://laperouse.com/
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Column
CREA Traveller
文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。
2024.01.24(水)
文=鈴木春恵
撮影=橋本 篤
編集=矢野詔次郎
CREA Traveller 2024 vol.1
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。