そのため、良い革靴を試し履きすると「硬い……」と感じることもしばしば。ですが、むしろ、それは正常な感覚で、つま先に程よく隙間(捨て寸)があり、かかとには隙間がない、横からギュッと締めるような履き心地であれば問題ありません。履いているうちに革が足の形になじみ、どんどん歩きやすい靴になっていくはずです。
一方、最初から柔らかい革靴は大事な「芯」を使っていないことが多く、甲革も薄く、柔らかい革を使うことがほとんどです。すると、最初の足当たりはソフトで快適だけれども、足元が安定しないため、結局はとても疲れる=歩きづらい靴になってしまいます。
靴は“値段相応”の物が多い?
スニーカーでも革靴でも、靴は足を支えるためにしっかりできている必要があります。
体重の移動や足の動きなど、靴には多くの負荷がかかります。それを支えるわけですから、各パーツに無駄なくしっかりした素材が必要になるのも当然。
靴底には全体重に踏まれても耐えられる強度や転びにくさが必要で、足や体を支えたり動きを快適にするためには、靴底のゴムやシャンク、カウンターが必要不可欠。
それらを省いて軽量化したり柔らかく仕上げるということは、靴の本来の機能を減らし、歩行の際の体の負担を増やすことにつながってしまうのです。
皆様には、ぜひ足元がグラグラせず、かかとが脱げず、横からギュッとフィットする靴を履いてほしいと思っています。靴は値段相応のものが多いもの。予算の中でどんな靴が買えるのか? なぜこの価格なのか? 長く快適に靴を履き続けるためのポイントを抑えて正しい靴選びをしていきましょう!
2023.10.18(水)
文=遠山めぐ美