快いトリップ感を誘う鮮烈な香りと豊かな味わい

「京都らしい食事はひと通り体験したわ~」という方にお薦めしたいのが、「スパイスごはん」。和の印象が強い土地柄からは意外でしょうが、実は京都にはスパイスカレーや各国料理の名店が多数存在。異国の香り豊かな逸品が京都人の舌と胃袋を喜ばせています。
なかでも昨秋オープンした「INUI」は注目の一軒。“妄想異国料理人”を名乗る店主の戌亥謙太さんが自家製のハリッサやラー油、フレッシュハーブを自由自在に使いこなす料理は、国やジャンルの枠を超越。一皿ごとに新鮮な驚きがあり、激しくお酒を誘います。「実は海外に行ったことがなくて、『あの国はこんな感じかな』と妄想で作っているんです」と語る戌亥さん。
そんな戌亥さんが大いに刺激を受けた店が、南インド料理の「TADKA」。姉妹店「TADKA2」では、インド各地の料理に造詣が深い店主・小此木 大さんが現地のレストランで熱烈アタックの末に、スカウトを果たした辣腕シェフのマニさんによるビシッと決まった本場の味を提供。いくつものスパイスを重層的に香らせた奥行きのある味わいは、もう感動モノです。
そして、和・洋・中・亜のテイストを絶妙に織り交ぜた料理なら、「To.」におまかせ。魚や野菜、果物などにスパイスとハーブを大胆に合わせた品々には「こんなの初めて!」を連発せざるを得ません。斬新な料理とスパイス香るサワーの相性が抜群です。
旅先の京都から、さらにもうひと旅できるのがスパイスごはんの魅力。しかとお腹を空かせて、よい旅立ちを!
◆【川端二条】INUI
型にはまらず自由に作れる妄想料理とレアなお酒

戌亥さんはカフェレストランの料理長や出張料理人などを経て独立。
元ギャラリーをスタイリッシュにリノベートした空間には相席スタイルのT字カウンター席とテーブル席を用意。食事はアラカルトで約15品が揃う。


お酒は、希少な木樽熟成のサワーエール(生ビール)やベルガモットサワー、紹興酒各種など。

INUI
所在地 京都市左京区新先斗町133 サンシャイン鴨川102
電話番号 075-600-2017
営業時間 18:00~21:30(L.O)
定休日 水曜、不定休
Instagram @inui_kyoto
●予約が望ましい
2023.09.14(木)
文=泡☆盛子
写真=佐藤亘、志水隆、橋本篤
CREA 2023年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。