防災アドバイザーが推奨する「在宅避難」

「精神的な負担以外に肉体的な負担もたくさんあります。流し場もトイレも、共有設備を使うことになりますので、歯を磨くのに10分待ち、トイレに行くのに10分待ち、ごはんは40分待ち、お風呂は2時間待ちなど、朝から晩まで、普段当たり前にしている行動のすべてに時間がかかるんです」(国崎氏)

 加えて、大量に水を使うのがためらわれることから歯磨きがおろそかになり、虫歯になったり、口内の細菌が増えて誤嚥性肺炎を発症したりなど、避難所生活における二次被害も問題視されています。

 そこで、国崎氏が提案するのが、災害が起きても避難所に行かずに、平時と変わらずに、身の回りにあるものを活用して自宅で暮らし続ける「在宅避難」です。

 この平時と災害時を区別せず、日常的に使っているものを災害時に役立てるという考え方は「フェーズフリー」とも呼ばれ、今注目の防災トレンドになっているそうです。

2023.08.31(木)
文=CREA編集部