経験したことのない豪雨に猛暑。グテーレス国連事務総長が「地球温暖化から地球沸騰化へ」と警告したように、残念ながら異常気象は収まる気配がありません。「いつか」ではなく、常日頃から災害に警戒し、備えることが急務です。

 サンスターが開催した「防災についてのメディア向けセミナー」より、危機管理アドバイザーの国崎信江氏が提案する、避難所に行かずに自宅で生活を続ける「在宅避難」というスタイル、またその方法について紹介します。


避難所はいいところじゃない

 年々深刻さを増す大雨災害。もし、大雨警報や線状降水帯発生情報が発表されたら、私たちはまず何をすればいいのでしょうか?

「大雨よる不安を感じたら、気になる川の状態を『洪水キキクル(大雨・洪水警報の危険度分布)』で確認してください。川をマップ上で探して色を見れば、その色で危険度がわかります。その際注意したいのは、自分のいるエリアだけ見るのではなく、上流を見ること。そこが警戒レベル4に相当する“濃い紫”だった場合は、数時間以内に下流もその状況になるかもしれないと想像することが大事です」(国崎氏)

 そして災害時は「とりあえず避難所に行けばなんとかなる」と考えている人が多いと思いますが、「避難所はいいところじゃない」と、熊本地震や九州北部豪雨などの災害対策チームで支援活動をし、実態を見てきた国崎氏は断言します。

 「ハザードマップを見て、自宅が浸水エリアだったり、土砂災害の警戒区域にあったり、避難指示などが出ている場合は、すぐに避難すべきですが、そうではない場合は、必ずしも避難所に避難しなくてもいいと私は思っています。避難先は自分たちで決めていい。

 なぜなら、避難所って本当につらいところなんです。多くの人が暮らすことになりますので、まずプライバシーがありません。窃盗や性犯罪の事実もあります。また、救援物資が届いてもきちんと分配されるのか、多めにもっていく人はいないかなどと疑い合うようになり、よくない雰囲気の中で過ごさなければなりません。心に余裕がなくなるので、悪口から暴力につながることも」(国崎氏)

2023.08.31(木)
文=CREA編集部